しかも、このルメイという人物は、戦後に航空自衛隊の育成へ協力したという理由で、佐藤栄作首相の時代に日本政府から勲一等旭日大綬章を授与されています。一説には、沖縄の本土復帰への条件闘争だったとも、そしてのちにノーベル平和賞が授与されるという経緯になるのだろうか。兎も角も、東京大空襲、原爆投下を指揮した大将に、戦後の日本が勲章を与えたという、この歴史の皮肉は、凶悪な「破壊」をどう扱うべきかを考える上で、無視してはいけない事実です。
しかるに、そうした言葉を21世紀になっている時代の米大統領が無造作に使う配慮のなさは、日本にとって看過できません。高市総理との会合でパールハーバー奇襲を軽々しく引き合いに出したかと思えば、今度は東京大空襲や原爆投下を指揮した側の言葉を、戦闘が激化する現状でイランに向けて放つ。歴史的文脈を踏まえない発言が、同大統領によって繰り返されること自体が、この時代の不幸と言わざるを得ません。世界の軍事トップにある人物のこのところの言動は、疲労によってか、過激かつ節操がなくなっているようにも見えます。
21世紀の国際政治は、もはや「石器時代」でも「20世紀半ば」でもありません。
現代の戦争は、インフラ破壊だけで勝敗が決まる時代ではなく、情報戦、経済制裁、サイバー攻撃、国際世論など、多層的な戦略が絡み合っています。にもかかわらず、「全面破壊」を前提とした古い言語を持ち出すことは、世界を単純化して捉える危うい姿勢を示すものです。
時間制限をちらつかせて相手を屈服させるような高圧的なビジネス相手への交渉術になっている手法も、21世紀の国際政治にはそぐわない。米国民もメディアもそのことを理解しているはずですが、現職の大統領は米国の命運だけでなく、場合によっては世界の命運を左右する存在であり、その人物が歴史の重みを理解しないまま、破壊の言葉を軽々しく使う現状は、極めて危うい。実は、叡智をつくして、AIの即答力もフル稼働して、解決策を練る人々もいるのだと信じたい、米独立宣言文の中にある如く、良心が彼らを正しく導くことを願っている。
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