日経平均の終値は前週末比2175円(4.8%)高の4万7944円。東証プライム市場に上場する9割超の銘柄が上昇する全面高の展開で、取引時間中には4万8000円の大台に乗せる場面もあった。最大の買い材料はサプライズとなった高市氏の勝利だ。
野村証券の西哲宏執行役員は「総裁選などを控えて日本株の持ち高を落としていた海外の短期投資家の買い戻しが膨らんだ」と分析する。日経平均は歴代で4番目の上げ幅だった。過去の新総裁決定後の株価反応をみると、この日の異例さが見て取れる。
首位は高市氏の4.8%高だった。2位の田中角栄氏(1972年、1%高)以下を圧倒する。最も低かったのは石破茂氏の4.8%安。24年の総裁選では事前に高市氏優勢が織り込まれるなか、決選投票での石破氏の選出により株価が急落した。
大和アセットマネジメントの建部和礼チーフ・ストラテジストは「初の女性総裁誕生は日本の変化の象徴になる出来事。特に海外投資家に好感されやすい」とみる。個別銘柄をみても、「変わる日本」への期待が投資マネーを呼び込んでいる。
高市氏の肝煎り政策とされるのが、防衛力の強化と核融合炉の開発だ。双方がメリットになる三菱重工業株とIHI株は一時前週末比15〜16%高となり、そろって上場来高値を更新した。核融合関連では浜松ホトニクスも一時12%高まで買われるなど、投資家の買いが鮮明だ。
対ドルでは1ドル=150円台と前週末から約3円円安が進行したほか、対ユーロでは1ユーロ=176円台と史上最安値を更新した。円安進行を受けて輸出関連株の業績改善期待が高まり、トヨタ自動車株が一時6%上昇したことなども株式相場を押し上げた。りそなホールディングスや横浜フィナンシャルグループなど一部の銀行株は下げた。
一方、債券市場では期間の長い日本国債を売る動きが活発になった。新発30年物国債利回りは一時3.29%と前週末比0.14%上昇(国債価格は下落)し、過去最高水準をつけた。新発20年債利回りは一時2.7%と1999年以来の高水準をつけた。
超長期債は償還までの期間が長く、財政リスクを映しやすい。「責任ある積極財政」を公約に掲げた高市早苗氏が自民党新総裁に選出されたことで財政膨張への懸念が強まり、超長期債の売り拡大につながった。
市場関係者が注視するのは、次期政権の枠組みや実際の財政政策の中身だ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは、自民党との政策協議に応じる構えを見せる国民民主党の動きに注目する。同党は消費税率の引き下げを掲げており、この実現が求められれば「財政規律の喪失が懸念され超長期金利を押し上げる可能性がある」とみる。
高市氏の就任で日銀の利上げ観測も後退している。ニッセイ基礎研究所の上野剛志主席エコノミストは「日銀が利上げを停止すれば円安が進み、物価高に拍車がかかる。そうすれば政権支持率にも悪影響が出かねない」と指摘する。当面は新政権の経済政策をにらみながら神経質な展開が続きそうだ。
出典:日経新聞(10/6)
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