タバコ・アルコール中毒対策法として1993年に施行されたこの法律により、テレビや映画館でのアルコール広告は禁止され、メッセージやビデオに厳しい規制が課された。すべての広告に「アルコールの乱用が健康に危険な影響を与える」というメッセージが含まれるようになり、以降に生まれたフランス人は日常的に流れるテレビCMのなかに飲酒シーンを見たことがない。そしてこのエヴァン法は、ワイン産業にとって想像以上にフランスの食文化に変化をもたらした。
ご存じのとおり、ブドウ栽培は天候によって、生産量が大きく左右される。2022年、赤ワインの巨大産地であるフランス南西部のボルドーでは、これまでの記録を塗り替えるほどの「干ばつ」と「極端な暑さ」という天候不良に見舞われた。ワイン用のブドウは「ワインベルト」と呼ばれる、ボルドー地区を含んだ緯度帯で多く栽培されている。例えば年間気温が10〜16度で昼と夜の寒暖差が大きく、1,000~1,500時間の日照時間が確保など、ブドウの品種によっても異なるが、育てるための適切な土壌や水分も確保が必要だ。
しかし、この年のボルドーは、1月から6月を除いた8ヵ月もの間、重度の雨不足に見舞われ、気温も全ての月で平年の1〜3度を上回った。その結果、市場に出回るワイン自体が大幅に減少し、ワインの価格が高騰。ビールは250mlという少量で、アルコール度数はベルギー産のフルーツビールでは3.5%。13%前後のワインに比べるとだいぶ軽い。価格も1本約330円と手頃だ。そんなに多くの量が飲めない筆者にとって、すべてがちょうど良い。「ちょっと飲みたい」という気持ちを満たしてくれるのだ。
ワインの場合、1本750mlと1人で飲み切るまでには3、4日かかる。価格も一概には言えないが、安いものでも2500円、高いものだと1本100万円以上もするワインは先物取引としても利用されている。つまりワインは若者にとって「コスパが悪い」のだ。
出典 現代ビジネスさらに近年、フランスはBIO (Biologique)商品が街中にあふれ、オーガニック大国としての潮流になっている。BIOとは化学肥料や農薬を使わずに生産された商品や遺伝子組み換え技術を使わない商品、あるいは原料の95%以上に有機農産物が使われた加工商品などを指す。
BIO商品だけを売っているマルシェ(市場)も数多くあり、とくに毎週日曜日の7時から14時だけ開かれる「ラスパイユのBIOマルシェ」は有名で、地元の住民だけでなく、観光客も多く訪れる賑わいをみせている。店頭には野菜、果物、チーズ、そしてBIOワインが並んでいる。これらBIO商品は普通の商品と比べると、値段も高いがフランス人からのニーズは高いようで、この健康ブームが普通のワインを避ける理由の一つになっている。マルシェで買い物をしていた60代の女性は「BIOは品質が良いから。化学肥料も使っていないしね」と言う。
また、ワインを飲む頻度について聞くと「最近は大分減ったわね。週に3、4回かな」と話していた。
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