オランダ人は、世界でいちばん自己肯定感が高い、一方で日本人は、国連が2023年3月に発表した「世界幸福度ランキング2023」において、日本の順位は47位で、自己肯定感が極度に低い結果が出ている。
「世界幸福度ランキング」とは、世界幸福度調査(World Happiness Report)による過去3年間の生活評価への調査結果をもとに、国連の持続可能開発ソリューションネットワーク(SDSN)によって発表されているものだ。47位という結果以上に気になるのは、生活評価への詳細内容において《自己肯定感が高くない》という傾向が強い点だ。
さまざまな要因があるなかで、その1つに《学校生活から評価基準が他者軸で行われることが多い》というのがありそうだ。
日本の子どもたちは、自己評価をする機会が少ないまま、年を重ねていないか。自己肯定感をもって生きるためには、幼少期からの環境が欠かせない。ならば、実際に自己肯定感を“標準装備”している人が多い国々では、どんな取り組みがされているのか。
自分で自分を見つめて、評価し、分析して、どんなことがしたくて、どう生きたくて、そのためには何をすべきなのか、といったことをじっくり考える時間が、果たしてどれくらいあるだろう。オランダに移住し、オランダ・ユトレヒトの現地小学校で体育教師をしている安井隆氏(35歳。名古屋で10年間、中学校の教師として勤務、名古屋市教育委員会によるオランダ教育を学ぼうというプロジェクトメンバーに選ばれ、そこでオランダの教育システムに興味を抱いて4年前に移住を決意)は、次のように話す。
「いちばんの違いは、教育システムそのものです。オランダのシステムはすごくよくできていて、子どもたちも教師の側も学校を自分で選ぶことができる。学ぶ場所、働く場所を自分で選べるというのは、人材のミスマッチが起こりにくい合理的なシステムですよね。
教育者として僕がいちばん大事にしているのは、不登校の子どもたちをどうやったらゼロにできるかということです。日本では、僕も毎年担任をしていたのですが、不登校の子は残念ながらやはりいました。そして、どれだけ頑張っても僕一人にできるのは、実際に手を差し伸べられるのは毎年自分が受け持つクラスの子どもたちだけです」
そうした課題に対処していくために、教育システムそのものを見直す必要がある。
「はい。そもそものシステムを変えることができれば、日本中の不登校児をゼロにする可能性もあるんじゃないかと思っています。実際に、オランダではそれがほぼ実現しかけているんです。その点にとても魅力を感じています。
文部科学省が2023年10月に発表した小・中学校における不登校児童生徒数は29万9048人にも及ぶ。これは過去最多の数字だ。
「子どもたちは『自分は自分のままでいいんだよ』と言われれば、自分もまわりの人に対して、『あなたもあなたのままでいていいんだよ』という感覚をもてるようになる。それが多様性を認めていくことの大事な本質です」
《できる/できない》の基準を他者が定めてしまうことの弊害からの脱却が、大きなポイントになっている。基準がないわけではない。その基準だけで、子どもたちの「良し悪し」を決めないことが重要なのだ。成長軸は、それぞれの中にある。
子どもたちはみんなそれぞれに違う。今もっているキャパシティも嗜好も、成長スピードもそれぞれだ。ある子にとっては簡単なことでも、また別の子にとっては大きな大きな挑戦であることもある。
「日本は多民族国家ではないから」といった声を聞くこともあるが、個々の子どもたちの多種多様性においては、オランダも日本も大差はない。
日本においても、今あるカリキュラムありきではなく、それぞれの子どもたちがより自己肯定感を育みながら、集団生活のなかで自分の活かし方・律し方を学びつつ、無理なく成長していけるシステムを構築してほしいものだ。そのための教職課程や教育実習制度の改定を迅速に進めていくことも必要だろう。
お手本はオランダだけとは限らない。世界に目を向ければ、参考になるやり方やシステムをもつ国はたくさんあるので、参考になる例だ。
出典 現代ビジネス(2/9 抜粋)
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