誰かと会って、「会話の内容」は記憶にないけれど、「いやな人だった」「いい人だった」 など「印象や気持ち」だけは覚えている。
「何を話したか」は忘れても、「何を感じたか」は一生残るのです。
雑談は、この「印象・気持ち」を形づくる「つかみ」の機会であり、「アピールタイム」。
雑談から始まる第一印象が、その後のキャリアを決定づけるからこそ、世界のエリート は、その時間を決して無駄にしないのです。 ではどうすれば、「世界水準の雑談力」が身につくのか。 私がエグゼクティブの人たちにお伝えしている具体的ノウハウを紹介していきましょう。
雑談がうまくなりたいと思ったら、それは、人は「自分が聞きたい情報だけ」を受け入れる生き物ということを知るべきです。
「予防接種は危険だ」「地球温暖化はない」と信じ込んでいる人に、映像やデータなどエビデンスを見せて説得しようとしたところで、考え方が変わることはありません。正しいこと、ファクトを振りかざしたところで、人の心は容易には動かないのです。これは心理学でいうところの「確証バイアス」と呼ばれる現象ですが、人間には「自分 の考えを支持する情報ばかりを集め、それに反する情報を無視する」傾向があります。ですから、「相手が興味のある情報」でなければ、受け止めてはもらえないのです。
雑談や会話をうまく進めたいと思うなら「相手」が「受け取りやすい球」を投げなければならないということです。「自分をアピールしたい」 「自分が言いたい話を聞かせたい」 そうした「自分への執着やエゴ」を「手放す」、つまり、自分視点を「離す」ことが「話す」ことを上達させる第一歩になるのです。「相手の心の扉」を開けたいのであればまずは、あなたというカギが「相手というカギ穴」 に合わせるしかありません。カギ穴はあなたに合わせて形を変えてはくれないから。 コミュニケーションの主役はあなたではなく、聞き手です。
「自分フォーカス」から「相手フォーカス」へとベクトルを切り替える。まずは、この「コミュニケーションのファーストルール」を覚えておいてください。「自分のことを話すとき、人はお金や食べ物と同じような快感を覚える」という真実に気がつくべきです。ハーバード大学の神経学者が、自分の話をするとき、食事や、お金、ドラッグなどによって分泌される「快楽ホルモン」ドーパミン放出と関連する脳の部位が活発化するのが確認されたという研究結果を発表しています。
これを裏返すと、相手に「マイク」を渡し、話をさせて、聞いてあげれば、相手を快楽 ホルモンで包み込んであげられるということ。
耳と目は2つで、口は1つ。話す時間の2倍、聞き、相手の目を見る。
二流は「口」を、一流は「目と耳」を動かすのだと心得てください。あなたが話すときは、あなたは知っていることを繰り返しているにすぎない。 でも、あなたが聞けば、何か新しいことを学べるかもしれない(ダライ・ラマ)
『世界最高の話し方』東洋経済新報社
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