第二次世界大戦後のアメリカは、「民主主義」「自由」「平等」が大切だと世界に向けて言い続けてきた。日本をはじめ、「アメリカこそが民主主義のお手本」と思って真似してきた国は多い。しかし、現在のアメリカは、もはや民主主義的ではなく、自由でも平等でもない国の一つになっている。「自由の女神」の像がフランスから送られた時代の希望の象徴にみられた国ではもうないのだ。このところの一連のトランプ現象を見てわかるように、民主主義はもともと衆愚政治に陥りやすい危険性を内包している、日本は衆愚政治の傘下にいて、アメリカのデッドコピー(模造品)になっている状況だ。
調査によると、最近10年間の間に強権主義が世界的に台頭したため、民主主義国家に住む人口は2割以上も減少したという。
今や世界の10人中7人が強権国家の下で暮らし、民主主義国家に住んでいるのは3人未満と少数派なのだ。
そして、
少数派となった民主主義国家のなかでも結束が乱れだしたことは、最近のドイツを見れば端的にわかる。ドイツ国民からすれば、ウクライナをできる限り助けたいと思う一方で、ロシアに制裁を加え続けるのは、資源高として跳ね返り、自分たちの首を絞める行為だと思い知ったのだ。
ドイツ国内では「ロシアに対する経済制裁をやめろ」という声が高まっている。
中南米各国のアメリカ離れは、トランプ前政権の影響が小さくない。トランプ 前大統領は前回2018年の米州首脳会議を欠席し、近隣諸国との関係づくりができていなかった。
2020年5月に起きたブラック・ライブズ・マター(BLM)の抗議デモに 代表されるように、アメリカ国内の人種差別と、差別への反発は以前より強まっている。アメリカ合衆国を 「United States of America」と言うが、現状は 「Divided States of America (アメリカ分断国)」と呼んだほうが正確だ。共和党 支持者が多い “赤い州(レッドステート)”と民主党支持者が多い“青い州(ブルーステート)”に分断されているからだ。
さらにトランプ氏は、大統領退任時に起こった2021年1月6日の議会襲撃事件が起きたが、それは自身で扇動したことが明らかになっている。当時のマイク・ペンス副大統領に大統領選でのバイデン勝利を覆させようとしたが、ペンス氏が選挙結果は正しいと判断してこれを拒否したため、彼を襲撃させようとしたのだ。現職の大統領が選挙結果を受け入れず、暴力によって覆そうとしたのだ。それでも、彼自身のみならず、周囲はそれを知っても彼を支持する、しかも強烈にアメリカの国民が彼を指示して、次期大統領に再選された。
もはや危機的状況と言っていい。
『日本の論点 2023〜24 「超円安」「分断化」を生き抜く』プレジデント社
大前氏研一氏は「国連」について『現在の世界は、アメリカという民主主義のお手本を失っただけでなく、強権的な国ばかりが勢いよく増えている。国際連合(国連)はまさしくその象徴であり、 実に無残な状況に陥っている。民主主義的で公平なしくみや運営が機能せず、悪く言えば、烏合の衆だ。
国連は193の加盟国がありながら、事実上の意思決定機関である安全保障理事会(安保理)の常任理事国は、アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアに限られ、これら5ヵ国が絶大な権力を持っている。言うまでもなく、第二次世界大戦の戦勝国であり、現在は核兵器の保有が認められている5カ国だ。
国連は、第二次世界大戦の反省から、世界の平和と安全を維持することを第一目的として1945年10月に設立された。しかし、設立から77年が経つうちに世界の状況は大きく変わり、機能不全になりつつある。
現在の国連は、世界の問題を解決する場として限界がある。最大の問題は、拒否権だ。
安保理では、常任理事国のうち1カ国でも反対すれば、決議案は採択されない。とんでもなく強い権限なのだ。
これでいいのかという議論が必要だ。
つまり、現在の常任理事国5カ国中2カ国(中国、ロシア)は正当性に疑問がつくのだ。』
民主的な運営を意図した国連は各国の分担金によって運営されている。
『分担金の1位はアメリカで22%、2位が中国で15%、そして、3位が日本で8%を分担している。ちなみに、4位ドイツ(6%)、5位英国(4%)、6位フランス(4%)、7位イタリア(3%)、8位カナダ(2%)、9位韓国(2%)、10位スペイン(2%)となっている。国連PKOの予算分担率もほぼ、国連の分担率と同じだが、10位にようやくロシアが入ってくる。』(外務省・令和6年4月資料)より
しかし、崩壊したソ連の一部にすぎないロシアが常任理事国にそのまま居座っていて、その拒否権を行使するし
第二次世界大戦の戦勝国はそもそも共産党が支配する現在の中華人民共和国ではなく、内戦に敗れて台湾に逃れた国民党の中華民国であった筈だった。
まさに、国連は、約80年も前に設立された組織だ。時代によって大きく変わらなければいけないのに、国連の改革は進んでいない。
アメリカも大きく変わってしまった。トランプ氏は1期目の任期中、国連の運営資金における米国の負担が不公平なほど大きいと不満を漏らし、改革を要求した。
民主主義のお手本だった米国は国連への支払いが遅く、2021年にトランプ氏が大統領を退任した時点で、通常予算に約6億ドル、平和維持活動予算に20億ドルもの延滞が生じていた。バイデン政権も国連通常予算で9億9500万ドル、平和維持活動予算で8億6200万ドルの延滞金を抱えているという。
傘も差したままでは世の中が見えない、今一度、国際政治について、世界をよく見て、国民一人一人が意識改革する必要がある。
posted by Nina at 00:00| 千葉 ☁|
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