しかし、多くの議会では、今も行われているのが多いと思われます。
議会初日に、質問する議員から出された通告と質問詳細で質問内容に関係する業務について、所管する担当課に割り振るのは、議長と事務局の職員です。質問に対する所管課が明らかならば問題ないのですが、不明瞭または多部署にわたる場合、答弁の割り振り――「これはうちの所管ではありません、〇〇部でしょ」「いやいや、××部が答弁してくださいよ」というやりとりになったり、再質問で誰も手を上げずにシーーーンと沈黙も起こり得ます。そうした時間の無駄にならぬよう、質問の意図や詳細について、通告と詳細(議員によっては質問原稿)を提出します。
この段階で聞かれ、質問詳細で内容のハッキリつかめないものは、議長によっては、答弁不要の判断になるとの含みではありますが、そこは議員たちの度量で、質問の意図を汲んで斟酌してもらうような流れになります。
本会議で質問者が壇上での質問を終えると、それに対して市長あるいは教育長が答弁をします。以前は議長席の前、現在は議員席側の質問席となったので、壇上に上がらないせいか(以前は、アガリ性だった)、気が楽です。
1回目の答弁を受けて、質問議員は再質問、再々質問するが、それらすべての質問に対する答弁が後日作成されるので、我孫子市議会は他市にはないが、専門の速記者をおいています。この、速記者を置くという意図は、我孫子市議会の当初からの取り組みで、議員、答弁者の質問概要ではなく、その一字一句を公開・記録するという明確な意識を持った議会だったからです。もっとも最近は、どこの議会も精巧な録音機器と動画配信で記録もされて、議会中にもLIVE公開されますが、この意識の差が我孫子市議会がいち早く、市民への採決表示し、議会中継を公開することになった情報公開への先駆性があったからではないかと思います。
さて、通告を受けてから、我孫子市の所管課は、他市のように議員の質問の内容を知っておくべく答弁調整(聞き取り)を行うことは2011年以降していないようです。
※自治体によっては、再質問、再々質問の内容まで伝えなければならなかったり、質問に対する答弁を事前に知らせてもらえたりする
ですから、壇上での質問→市長・教育長など、又は所管課の答弁→再質問→再質問に対する答弁→……と作った原稿を読む格好になっていても答弁漏れを指摘する以外に、質問と答弁の食い違いはほぼありません!
※議員側は答弁をあらかじめ知ることはできません。
つまり、記録として永久保存の意図があり、真摯に市民にお応えする、税金の使い道を誤らない為です。議会が終了した後、約一か月を掛けて、議員と祖質問への答弁を議事録にし、永久保管します。
議会改革にいち早く取り組んでいた議会の一つ、流山市議会では、議事録作成までのマニュアルを公開していました
https://www.nagareyamagikai.jp/doc/2015033100014/file_contents/9940_.pdf
そこまでに至る、まず、議会質問への市長、各担当部長らが、行政としての姿勢を詳らかにするよう、議員が質問してくることに、常に答えて行かなくてはなりません。しかし、議会では細かい数字まで全て暗記して答弁するわけには行きません。1つひとつの質問に対して、「調べるからちょっと待ってて!」と議会をその都度ストップしているようでは時間の無駄です。
そうならないよう、質問する議員は所管課への事前の問い合わせや、聞き取りにおけるやりとりで下調べをしているのが、一般的な議会です。
よく、議会の「茶番化」のように見る向きもありますが、「通告」と「質問詳細(場合によって質問原稿」を提出は、果たして不毛でしょうか?国会のように国際問題や億・兆の予算規模には多数の所管省庁の予算が絡むので、齟齬がないように聞き取りを綿密にして、資料が手元にないなどと答弁ができないとならないよう、議会を効率的・生産的にするため、答弁調査で担当職員が聞き取りに躍起になる訳です。
ですが、年間400億前後の我孫子市議会は、質問しない議員はともかく、日々「質問通告」に向けて、日頃より市民に向けて、担当課に「聞き取り・ヒアリング」をしてきたことを踏まえつつ、3か月毎の議会質問に向け、質問内容を考えています。職員は、虎の巻のように分厚い資料を精査し、即答できない時にのみ、後日資料を用意しますと答えています。市長・教育長および市長部局の答弁に対し、議員は臨機応変かつ論理的に再質問を繰り広げ、市民の声を行政に届ける仕事を心がけているのです。
近年、議員のほとんどが質問する議会が増えてきたとのことですが、都道府県や政令市などの議員数の多い議会では、それは会期日数の決まった時間内に、会派に割り振った時間内で人数を限ることをしないとムリです。
都議会のあり方検討委員会は令和5年9月に「本会議の会議時間に係る申し合わせ」として、代表質問の終了時間を「午後9時を目途」とし、質問可能時間は「所属議員数割合により各会派に案分した時間を上限として協議する」と定めた。しかし、終了時間の上限を定めただけで、数日間にわたって会派に与えられる総質問時間に変更はない。一方、委員会については上限の申し合わせがないため、6日の予算特別委員会の理事会では、総括質疑1日目の質疑時間をめぐり、午後9時を目途に議員数で案分した時間割をもとに調整が行われた。結局は、「質問権をしばる行為だ」として反発する党があった。これに対し、他会派からは、「働き方改革に協力的でないということでいいのか」と批判する声も上がった。質問時間総数が減らない限り、答弁書、議事録作成に相変わらず、時間がかかるという事です。
一方で、鎌倉市議会では、行政全般にわたる施策についてただす「一般質問」について、質問時間を現状の1人当たり2時間から1時間半程度に短縮を図るかどうかが議論となった。議会運営委員会では、提案した市議が「(質問時間の短縮は)効率的な議会運営のため」と主張する一方で、反対する市議からは「議会は真剣勝負。厳しい時間制限を行うと、職員の緊張感が薄れる。こうした時間制限は自殺行為だ」「(制限時間を厳しくして)枠をはめてしまうやり方は違う」と異論が噴出。結果として、現状維持の2時間に落ち着いたという。この、議論は市民全体の為に考え抜いた質問かどうか、主権者である市民の判断が加わらないので、へいこうせんなのでしょう。議員報酬(市長・教育長・水道局長は別途)の時期をみた上下は、識者、市民を交えた報酬審議会で判断します。議員定数については、公聴会を開き市民の判断を仰ぎます。議会に関心が、寄せられていると議員は人口当たり多い方がいいとの意見がありますが、関心が無いと「税金の無駄」との判断になるものです。
我孫子でもまったく議会質問しない長老議員がいましたし、今も少なからずいらっしゃいます。それは、議会質問の場でなくとも市民の要望を行政に徹底して貰うとの凡庸さ、一市民の声でも行政に徹底させる、仕事ぶりで支持者の数を維持してきたのでしょうか。
LIVE議会中継も、県内でスタートが早い議会だったが、視聴しているのは職員であって、広がりもさほどでない。一般傍聴も数えるほど。議会報告会も目新しいうちだけの関心だったようで、参加者激減で、コロナ禍で中止になったままです。市長、職員幹部が並ぶ、タウン三−ティングの参加者と同数程度でしたが、どこも議会報告会では、議員の持ち時間も同一ではモチベーションが薄れ、選挙の当落の結果には及ばないと分かったので、開催が遠のいてます。
議会を注視する市民が少数であっても、それは凄く大事です。常に襟を正す姿勢を保つには、ちょっとでもイイから、見ててくれる人がいるってことが一番です。冷やかしでも、疑心暗鬼でもいいが、中傷とか不信だけで凝り固まる市民が多くなるって風にならないよう、議会議員は何らかの方法で選挙までの期間を皆さんに向けて、日夜努力していると、そう考えてください。ですから、その街の議会選挙で50%以上の投票率を割るかどうかが、天下分け目だと思うのです。
貴方の関心が議会にも向くように、議員一人一人が、貴方の身近に役に立ちたいと頑張っているのです。
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