今や女性の2人に1人は90歳を超える時代です。どうせ長く生きるなら、毎日を楽しく快適に過ごしたい。そのためには、ストレスの原因から上手に身をかわす、無理だと思うことは深追いしない、くだらないことに関わるのは時間のムダと割り切ることも大切だと思っています。
樋口恵子さんは、高齢社会をよくする女性の会に携わり、女性の問題を多々解決して、現在は92歳になられた。女性たちの悩み相談にも親身に寄り添ってきた。下記は、その中の主だった内容を紹介します。
80代前半の女性ですが、台所に立つのも身体的につらくなり、家事がいろいろと億劫になるものです。しかし、食事を簡単に済ますと栄養面で疎かになる方も多いので食べるのは、きちっと食べてください。食べないと身体的うつを招きますから、工夫して絶対に食べてください。
コンビニの食べ物も充実してきましたし、冷凍食品の進化も目覚ましいです。コンビニで食べ物を調達している一人暮らし男性のお年寄りの姿も多くなっているみたいです。散歩がてら、こういった所に立ち寄って、出来合いのお弁当やお総菜を買って、食事をとることもできます。
こども食堂は全国に9000カ所を超えるほど増えてきています。その中に高齢者も受け入れるジジババ食堂があるのです。
私が奨励しているジジババ食堂も広がりつつありますので、そこに参加すれば、子どもたちのように世代を超えた人々との交流ができるかもしれません。
民間の高級老人ホームに入ることは、時に民間ですと倒産の危険があると知っておいてください。入居時に高額のお金を払うので、それに勝る蓄えがないと倒産されたときは路頭に迷うこととなります。年金で入ることを前提にしている低価格の老人ホームもあります。
杉並区の例でいえば、入居一時金が20.4万円、月額利用料は13.3万円が相場とのことです。東京23区でこの相場なら、地方都市はもう少し安いかもしれません。だいたい個室で介護と看護のサービスが付いているようです。公的施設としては特別養護老人ホーム、いわゆる特養が全国に1万1000カ所近くあります。公的施設なので倒産の心配はありませんが、要介護3以上の方が優先ですし、順番待ちも長いと聞いています。杉並区には特別養護老人ホームが23カ所ありますが、2024年11月の時点で空き室はありませんでした。
まだまだ自立して暮らせると思っていらっしゃるようですから、住み慣れたおうちで、おひとり様で暮らしていくという選択もあります。わが心友、上野千鶴子さんが『おひとりさまの老後』(法研⇒文春文庫)という本を書いています。この本には、おひとり様の老後のスキルとインフラが具体的に書いてあります。お金のこと、友人のこと、住まいのこと、生涯独身のおひとり様から、家族と別れたおひとり様まで考えてくれています。
お子さんがいるようなら、面倒かけたくないなどといわずに頼れるときは頼りましょう。
出典 東洋オンライン行政が責任を持つスウェーデンの「墓じまい」
10年ほど前に、高齢社会をよくする女性の会役員5人で北欧を旅しました。ノルウェーやスウェーデンの福祉事情を見聞したのです。その時、お墓事情も聞く機会がありました。お墓の前で、お棺に入るというパフォーマンスもいたしました。「不謹慎です」と叱られましたが。
スウェーデンでも墓じまいは行われていました。ただ、行政がするのです。街には公営の霊園がありました。そこと契約し、埋葬されたあと20年から30年、つまり1世代の年月がたつと墓じまいとなり、新しい方が埋葬されます。受け継ぐ意思をもつ子孫がいれば延長できます。非常にスムーズにいっているようです。
人は、地域で育ち、地域で働き、地域で眠る。「育つ」「眠る」は行政が配慮すべきことだと思います。
霊園の場所を提供して、地域住民と契約し、管理する、そういうことを市区町村でやっていただきたいと考えています。これからは、地域とお墓という考えが一般的になるのではないかと、今後も研究して提案していきたいと思います。
東京都では多磨霊園などの公営だと、もう少し墓じまい費用も安いようです。もっと身近に公営の霊園を作って不安のないように考えてもらいたいです。
昔ながらのお墓は、〈先祖代々の墓〉でした。でも近年は、家族ごとにお墓を建てる形になっているので、このまま家族の墓が増えていけば、狭い国土に人口が多い日本は、墓だらけになっていくかもしれません。そんな中で、墓じまいという考え方が出てくるのは当然のことかもしれません。
高齢社会をよくする女性の会では、葬儀やお墓の話がよく話題になります。新潟で墓じまいをされた方のお話をうかがいました。
お寺から「合同慰霊塔を作ったので、お墓を移したい方はそちらに」という話を聞き、娘は墓守りを受け継ぐのは嫌だと言いますので、いろいろ考えて墓じまいする決心をしました。金額は、お寺によっても違うのですが、私の場合、遺骨1柱あたりに費用がかかり、5柱だと結構な金額になりました。でも後顧の憂いを残さないよう契約しました。先日墓じまいの法要を行い、無事5柱を合同慰霊塔に納めました。私自身もそこに入れてもらうことになります。
2025年04月24日
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