12月24日に厚生労働省が公表した最新のデータで、高齢者が、若干ですが健康になっていることが分かりました。健康上の問題が起きて日常生活に支障が出てから寿命を迎えるまでの期間(平均寿命−健康寿命)=日常生活に制限のある期間が男性が約8カ月、女性は1年以上短くなっている。
2022年の平均寿命は、男性が81.05歳、女性が87.09歳でした。2022年はコロナの影響もあり、平均寿命が男性も女性も前回の2019年と比べて短くなっています。2022年の健康寿命は、男性が3年前に比べ、0.11歳短くなって72.57歳、女性は0.07歳延びて75.45歳でした。「健康寿命」は、コロナ禍の影響で男性は前回と比べて短くなり、女性は伸びているのが分かります。
日常生活に制限のある期間が男女とも短縮され、男性は8.49年、女性は11.63年で、いずれも前回と比べて短くなり、“健康である期間”が延びた形です。現在、平均寿命と健康寿命の差は、男性 約9年、女性約12年との算出がありますが、それは、単に健康上の問題で生活に何らかの支障が出ているかどうかをアンケート調査によって主観的に測って出した数字です。
実は、健康寿命には、別の算出方法があります。その方法では、「自立」基準を主観的なものではなく、介護保険の要介護2未満としています。アンケートでは、若いころと比べ動きがゆっくりになっているだけで、問題なく動けているのに、テキパキ動けなくなったなというだけで「生活に支障がある」と捉えている例も含まれている可能性があります。
65歳の平均余命と比べて65歳の人が要介護2になるまでの平均期間を「65歳平均自立期間」と言いますが、それがどのくらいの期間を占めるかを示しています。今まで「平均寿命と健康寿命との差がそのまま介護期間」と心配されていますが、もう一つの国民健康保険中央会が算出法=「65歳の平均余命」−「自立期間」では、男性では1.4年、女性では3.1年と縮まります。これが、2024年発表の2022年統計情報による、要介護2以上の状態になる平均期間です。
もちろん、寿命自体に個人差がありますが、厚労省の「健康寿命」とは明らかに大きな開きがありそうです。アンケートによって平均した数字に悩むより、こちらの介護保険2を基準にしたほうが、実態に近い「健康寿命」ではないかと考えていいでしょう。
20年前と比べて、寝たきりになったり介護が必要になったりするのを平均値と思いこまされてもつまりません。それこそが前頭葉が老化していくと何事にも意欲がなくなり、活動することが億劫になってしまいます。運動機能の低下と脳の老化にさらに拍車がかかります。
創造性や他者への共感、想定外のことに対処するといった機能をもつのが前頭葉です。ここを働かせるには、いつまでも現役の市民であろうとすることが老化を遅らせて、長い晩年を元気にすごす秘訣です。ゆっくりしてから次のことを考えようと、ダラダラとすごす生活に流されていると、それが習慣になってしまいます。
「引退する」という考え方こそが見た目の印象でも、元気のない老人に変貌してしまいがちなので、仕事をしないのであれば、代わりに何をやるのか、準備をしておくことが大切です。
和田秀樹 現代ビジネス 2024・12月
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