これまで、国はマイナ保険証の普及を促すために、マイナ保険証を使った方が健康保険証を使うよりも医療費が安くなるような誘導策をとってきた。だが、12月から制度変更に伴い、マイナ保険証に関する医療費も見直される。私たちが支払う医療費の自己負担額は、どのように変わるのだろうか。導入の背景には、日本のデジタルトランフォーメーション(DX)の立ち遅れがある。特に医療分野の立ち遅れは顕著で、コロナ禍では医療機関と保健所などの関係機関をつなぐネットワークの貧弱さが明らかになった。
そこで、2021年10月からマイナ保険証の本格運用が始まった。DX化によって医療現場の業務効率をあげ、安心・安全で質の高い医療を提供していくためだった。普及策の1つが「マイナポイント」の付与で、マイナンバーカードの新規取得、健康保険証としての利用登録、公金受取口座の登録をした人に、合計2万円分の助成が行われた。
もう1つが診療報酬による誘導だ。22年4月の診療報酬改定で、外来診療の基本料金である初診料・再診料にマイナ保険証に関連した10〜30円が安くなり、オンライン資格確認システムなどの普及を目指すことになったのだ。
12月2日以降は保険証の新規発行されなくなるが、それでも、現在手元にあるものは有効期限がくるまでは最長1年間利用できる。マイナ保険証の登録を行っていなくても、資格確認書、健康保険証があれば、従来とおりに公的医療保険が適用される。前述のような調整がされて、証明書の種類によって、支払う医療費に差が出ることもなくなるので、期限までは同じように受診できる。
マイナンバーカードを持つかどうかは個人の自由なので、資格確認書の交付を受けるという手段もある。よって、直ちにマイナ保険証を持っていなくても保険診療が受けられなくなるといったことはない。ただし、健康保険証の有効期限が切れた後は、マイナ保険証での受付が主流になっていく。
マイナ保険証の本格導入当初は、他人の情報がひも付けされていたり、読み取り機械の不具合で資格確認ができなかったりするなどのトラブルが大きく報じられた。だが、その後システム改修も行われ、トラブル時の対処方法も決められた。今後の問題は、医療機関で対応ができていない場合や、受付で速やかに対処できるようになっていないことだ。強制ではないので、自分のペースでなっとくしつつ、これまで通りにマイナ保健証を使わない受診もありだし、マイナ保険証に切り替えて使えば、医療機関も効率化されて便利になるということであり、また、資格確認書の交付で対応するのもありなのだ。
保険者ごとに異なるが、原則としてこれまでの健康保険証交付の運用どおりとなります。
詳細やご不明な点は、ご自身が加入している医療保険者にご確認ください。
なお、2024年12月2日以降、保険者の異動があれば現行の健康保険証は新たに発行されなくなるため、マイナ保険証をお持ちにならない新規加入者などについては随時、資格確認書が交付されるのでご安心を。
これからも国民皆保険制度を維持していくためにふさわしい資格確認の方法はどれなのか、自ら判断して利用できるよう経過措置がされている。高齢者も公的機関の「なんでも相談室」、外国人の方も外国人のための行政相談や「マイナンバー総合フリーダイヤル」☎0120-95-0178(5番)を利用して、慌てず対処して頂きたい。
最大20000ポイントの還元もしっかり情報を得て入手してみよう。
参照 ダイヤモンドOnline (11/29) デジタル庁HP
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