政権内の対立が続いた1次政権の教訓を踏まえ、大統領補佐官(国家安全保障担当)や国防長官などの要職に自らに忠実な人物を起用する。トランプ氏が掲げる「力による平和」を円滑に実践する体制を築く。
「ピートは『力による平和』政策の擁護者だ」。トランプ氏は12日、国防長官に退役軍人のピート・ヘグセス氏を起用すると発表した声明で言及した。同日、安保担当の大統領補佐官に充てると発表したマイク・ウォルツ下院議員についても同じ言い回しを使った。
トランプ氏は同盟・有志国に防衛費の増額を迫りつつ、自国の軍事力増強にも軸足を置く。前政権の安保戦略では、冷戦時代に旧ソ連と向き合ったレーガン政権が掲げた「力による平和」への回帰を打ち出した。国防費を増やし、軍の近代化を進めた。
選挙期間中、自身が大統領在任中にはウクライナや中東で紛争が起きなかったと訴え、新政権では「力による平和を取り戻す」と繰り返した。
1次政権では大統領補佐官に「物言う軍人」として知られた論客で陸軍中将のマクマスター氏、国防長官に階級が大将のマティス元中央軍司令官ら経験豊富な軍高官を重用した。しかし、政権内の意見対立で次々と更迭し、外交・安保政策が揺れた。
トランプ氏は1期4年間の大統領を務め、外交・安保政策にかかわった「経験」からの自信がにじむ。現時点で新政権の要職に就くと明らかになったのは以前からトランプ氏と気心の知れた人物ばかり。退役軍人でもヘグセス氏は元下士官で、高位が目立った1次政権とは異なる。
米シンクタンク・新アメリカ安全保障センター(CNAS)のジェイコブ・ストークス上級研究員は新政権について「首脳レベルの関与により重点が置かれ、大統領中心の外交になる」と分析する。
米中央情報局(CIA)長官に充てるジョン・ラトクリフ氏は前政権で情報機関を統括する国家情報長官を務めた。起訴されたトランプ氏への捜査に批判的で、情報機関のあり方に懐疑的な見方を持つ。
米主要メディアは11日、国務長官にはマルコ・ルビオ上院議員を指名する見通しだと報じた。米紙ニューヨーク・タイムズによると、ルビオ氏は8年前の米大統領選の共和党候補指名獲得レースで敗れた後、トランプ氏と関係を修復し、非公式に外交政策を助言してきた。
新政権は「中国という主要な戦略的競争相手に重点的に取り組むため、ロシアとは融和的な姿勢を取る」(ストークス氏)との見方が多い。トランプ氏は中国に強硬な態度をとる一方、ロシアとの対話に意欲を示してきた。
ウォルツ氏は軍事資源を最大の脅威である中国への対処にシフトすべきだとの立場を取る。5月にはX(旧ツイッター)に「我々はウクライナから学ばなければならない。手遅れになる前に台湾に武器を供給することだ」と投稿した。
ヘグセス氏は「中国は米国を打ち負かすための軍隊を構築しているのは明らかだ」と話す。半導体拠点が集中する台湾の統一を辞さない中国について「技術の市場を将来的に完全に独占しようとしている。世界的な支配を長期的な視点で考えている」と危機感をあらわにする。
米国の限られた能力を中国抑止に集中させるべきだとの主張はトランプ氏に近いアジア専門家に根強くある。巨額の資金を投じてきた対ウクライナ支援を対中抑止に回すべきだとの考え方だ。
ウォルツ氏はウクライナ支援法に反対票を投じるなど、支援に慎重姿勢に転じた経緯がある。北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州各国に防衛費拡大を迫り、停戦に向けてロシアとウクライナには交渉を促す。ルビオ氏も「戦争終結の現実的な方法は交渉による解決だ」と足並みをそろえる。
ウォルツ氏は防衛費を国内総生産(GDP)比2%まで増やすと決めた日本政府に関し「世界の脅威増大を理解しているため増額した」と言及した。トランプ氏も4月に自民党の麻生太郎氏と会った際に日本の防衛費増額を評価した。
次期政権は、上下院とも共和党主導となり、トリプルレッドの中でトランプ氏の剛腕ぶりは平和に向けての手腕であるように正解中が願う。
出典 日経新聞11/13
【関連する記事】
- ノモに始まる日本人野球選手の活躍
- ロコモ、フレイル、サイコぺニアとは
- オーガニックで生き残る、日本の農業の未来
- メガソーラー設置が増えることへの危惧
- 中国の憂鬱
- 成功の秘訣、成功すると自覚すること
- Camelot by J Andrews & R Barton
- 生まれは違っても
- 高齢者への対応
- 地盤改良; 新湖北消防センターの土質を見る
- セブン&アイ ホールディングス
- 誰でも、転倒の危険はある
- トランプ大統領への反応
- 意外と難しい「自分で考え、自分で決める」
- 2025年3月議会、6日の午後に質問
- バチカンでの教皇選挙:コンクラーベ
- 朝廷と和歌の歴史
- Deepseek いつか来るべき相手
- 「そんなこと言ったっけ」ともいう米大統領だけれど
- AIが戦争に加担、どうなる