28日、ロサンゼルス・ドジャースの球場、大谷翔平選手が「1番・DH」で出場は予定通りだったが、この日の始球式はデコピンが登場した。真美子さんは、観覧席で待機するなか、史上初の犬による始球式に大喝采だった。
英語名の「DECOY」と背番号「17」が入ったユニフォーム姿でボールをくわえ、一直線で走っていく。大谷はよくやったという満足気な満面の笑みでハイタッチを交わし、こんな場面を見たことがない球場はまたまた大きな拍手が巻き起こった。“デコピンデー”に主人の指導にきちんと応えて名犬ぶりを示した。だが、大谷選手が抱きかかえようとすると、やんちゃぶりを発揮して、スッと腕をかわして駆け出す一幕も。ほほえましいやり取りに、多くのファンもにっこりの連続、ボブルヘッド人形も持ち帰れ、さらに大谷自身も4打数2安打1本塁打1打点2盗塁の大活躍で、ドジャース6−4オリオールズ戦で、チームの勝利に大貢献した。
試合後のインタビューで大谷は「ファーストピッチは僕が緊張。綺麗に決めてくれてよかった。(練習は)3週間ぐらいしました」と、野球グランドに初登場の最年少プレーヤーに対して、「打席より緊張しました」と満面の笑みで回答。愛犬の頑張りについては、「素晴らしかったですね。良いおやつでも買って上げたいと思います」とはにかんで答えて、ファンの喜びようにも安堵したようすだった。
犬による始球式はメジャーでは’09年のナショナルズの開幕戦でおこなわれていた。ドジャー・スタジアムでも’13年に一度実施され、最近ではマイナーリーグのオールスターゲームでもされていた。ただ、飼い主がホームランバッターで愛犬が始球式を務めたのはメジャーリーグでも史上初でしょうか」と言われる。
デコピン始球式のインパクトは絶大だった。ドジャースの公式Xで7千450万回表示されたとのデータもある。これは今季最多だ。試合後、ロバーツ監督はデコピンについて「あんなに躾されていることに驚いた」とコメントしていたが、「スタディ・ドッグ・スクール」代表で学術博士の鹿野正顕先生も「もっとも驚いたのは、大観衆のあれだけの声援のなか、デコピンが大谷選手の指示にきちんと従って、周りを気にせずやり遂げたことです。子犬のときからいろいろな環境に慣れていないと、騒がしい場所は大変なストレスになってしまいますから……」と述べた。
デコピンはオランダ原産の猟犬としての歴史を持つ、コーイケルホンディエ。今回の始球式のような行動は、練習すればすぐにできるものなのだろうか。
「物を持ってくる行動には2種類あります。投げられたボールを追いかけていって、また投げてほしいからくわえて持ってくる行動。そして、指示されたものを持ってくる行動です。犬の場合、追いかける行動は意外と教えなくても自然とできることが多いんですけれども、今回の場合は、ちゃんと指示に従って置いてあるボールを持ってくるという、より高度な行動です。あれはきちんとトレーニングして教えないと簡単にはできないと思います」(鹿野先生)
今回のデコピン始球式の練習期間について大谷は「2〜3週間。1回ドジャー・スタジアムで予習もした」と話している。「遊びながらやっていました」と謙遜していたが、飼い主からきちんと遊んでもらっているか、愛情を受けているかがとても大事なのだということです。
真美子さん&デコピンの笑顔が、大谷に「ナンバー“ワン”」の力を与えていた、ということだろう。
2024年08月31日
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