全国高校野球選手権大会(甲子園球場)は初の延長戦で、初の決勝進出に進んだ京都国際が勝利を決めた。23日、全国高校野球選手権大会決勝で延長戦の激闘を制し頂点に立った京都国際は在日韓国人学校が前身で、甲子園球場では試合後、異例となる韓国語の校歌が響いた。勝った京都国際も、それまでの試合のように試合後に自校の応援団へあいさつした後、対戦相手の関東第一のアルプス席に向かって礼をして、大きな拍手が起こっていた。
この光景にネットでも「美しい」「これがスポーツだ」「甲子園に青春をかけた者同士だから」とSNSでも称賛が上がった。
選手は日本人だが、韓国メディア(中央日報、ハンキョレ)も今大会の同校の躍進ぶりについて「甲子園に鳴り響いた韓国語の校歌」などと好意的に報じていた。韓国メディアも高い関心を示し、聯合ニュースは「民族学校が奇跡の歴史を刻んだ」と速報。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領はフェイスブックに「在日同胞に誇りと勇気を与えた」と優勝を祝うメッセージを投稿した。
京都国際は昭和22年に京都朝鮮中として創立し、その後、韓国政府認可の民族学校となった。平成15年に日本の学校教育法上の認可を受け、翌年に現在の校名に変更された。韓国メディアによると、現在は韓国系の生徒が全体の約3割を占める。
韓国メディアは同校を、両国国民から声援を受ける「韓日友好の象徴」(中央日報)として大々的に報道。韓国外務省はこの日の試合後、「両国の友情の架け橋」として同校の優勝を祝う趙兌烈(チョ・テヨル)外相のメッセージをX(旧ツイッター)に投稿した。
一方、毎試合後の同校の校歌斉唱では、NHKが放映した歌詞の字幕が議論を呼んだ。「東海渡りし 大和の地は」の歌いだしで、日本語訳では「東海」を「東の海」に変更。翻訳は「学校から提出された」との注釈を表示した。校歌が政治問題化するのを回避する狙いだったとみられる。
そのため、韓国主要紙、朝鮮日報はコラムで、日本関連の表現に対し過度に敏感な反応が生じる韓国公共放送と比較。校歌斉唱の中継を通じて「日本社会で非難の声が巻き起こったとか、NHKに抗議が殺到したとかいう話は聞いていない」と報道された。
校歌の訳を巡り、21日、韓国人教授がNHKに「固有名詞の『東海』を『東の海』と表記したのはNHKの明らかな誤りだ」とメールで抗議したと韓国メディアが報じていた。韓国の誠信女子大学の徐敬徳(ソ・ギョンドク)教授は、五輪大会などで旭日旗を「戦犯旗」として使用禁止を働きかけるなど、「日本極右勢力の歴史歪曲を世界に知らせてきた」(中央日報)人物として知られている。
京都国際は在日韓国人向け学校をルーツに持ち、校歌の歌詞は日本海について、韓国が国際的な呼称にするよう主張している「東海」が含まれている。NHKは同校の意向でテロップで歌詞を表示する際、日本語訳を「東の海」としていた。
出典 産経新聞
2024年08月23日
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