自立した状態で100歳を迎える人は今は2割です。今後環境が変わることで4割ぐらいにまで拡大できる可能性があるが、残りの6割は他者の助けが必要な状態で100歳を迎えることになります。
このような状況を踏まえて、ピンピンコロリ一辺倒の一本足打法ではない、二本足打法を心がけるのがよいのかもしれません。ピンピンを目指すものの、それがうまくいかなかった場合のことを想定した別の生き方の準備をしておきましょう。その間に、下記の事を実践してみると良いようです。
1)“料理”は最適な脳トレに!
コロナ禍の影響でデリバリーが習慣化したり、外食が多くなって、料理をしない人もいるようだが、料理には脳を活性化させる効果がある。「脳の前頭前野の働きが活発となり、血流が増加したという研究結果も。簡単なものでいいので料理は毎日続けましょう」。
緑黄色野菜や発酵食品を多く摂るなど、バランスのいい食事を心がけることも大切だが、山崎医師いわく、認知症予防には「何を食べないか」も重要だという。「アミロイドβを取り除くのに最も効果的なのは、不飽和脂肪酸(EPAやDHA)という成分を含む青魚です。これでアミロイドβの蓄積を防げますし、青魚の脂に含まれる不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを減らす働きがあります。青魚は認知症予防の優等生です。また緑茶にも認知症予防の効能があるのです」
「食事をするときはとにかく噛む回数を多くすること。噛むことが脳にとっていい刺激になり、脳を活性化します。大体1時間ぐらいかけて食事をします。朝食朝7時ごろ規則正しくすること。毎日庭に出て日光を浴びながらラジオ体操をして、7時半に朝食を摂るのですが、こうした朝のルーティンによって、体内時計のズレをリセットするのです。実は体内時計のズレも、ボケの原因の一つ。それをリセットするためにも、毎朝同じ時間に食事をする。誰でも簡単にできる認知症予防法です」
2)虫歯や歯周病が認知症を招く
「歯の健康と認知症の関係は深く、歯周病菌がアルツハイマー型認知症の発症因子アミロイドβの生成・蓄積を促進させることがわかっています。さらに、虫歯菌が認知機能の低下と関係していることも明らかに」。口腔内の健康が脳の健康につながると覚えておこう。
3)人に会わないと脳が衰える
他者とのコミュニケーションは、脳を刺激し、脳の発達を促進させる。「買い物に行く、カルチャースクールに通うなど、意識的に外出する用事を作って。人と話す機会が減るだけでなく、社会的孤立にもつながります。」。
4)イヤホンをして音楽を聴く
「イヤホンやヘッドホンを使い、大きな音量で音楽を聴き続けると、音を伝える役割をしている内耳の有毛細胞が徐々に壊れて難聴になりやすくなります。やむなく使う場合は、音量に気をつけ、1日1時間未満に」
5)三大欲求”が満たせるようにコントロール
「人が心の底からリラックスできる状態は実は、食欲・性欲・睡眠欲の三大欲求が満たされることで成立します。ペットなどの動物や子供と触れ合ったり、好きな歌手や俳優に“ときめくこと”でも、脳が活性化されます。認知症予防には、ストレスをためないことが大切です。」
6)「認知症予防に運動は大切。筋力維持を目的とした適度な筋トレはいいですが、50代以上でムキムキになるくらいの過度な筋トレは、けがや病気のもとに。認知症予防が目的なら有酸素運動が有効です。おすすめは、週2〜3回、1回30分以上のウオーキング。認知機能の低下防止だけでなく、代謝がよくなり血糖値や血圧の改善も期待できます」
7)「市販の風邪薬、胃酸の分泌を抑える薬、せき止め薬、花粉症薬、睡眠改善薬などの中には、認知機能に影響を及ぼす成分が含まれているものも。過度な服用は控え、不調時は病院で適切な薬をもらいましょう」。
8) 計算は効果的な脳トレに
「脳は使わないとどんどん衰えてしまうので、日常生活で計算する習慣にすることです。たとえば、買い物をしながら合計金額を算出することで、計算力と記憶力が鍛えられます」
9)「年齢を重ねると何事も慣れ親しんだもの、得意なことしかやりたくないとなりがちですが、新しい体験をすると脳の神経細胞が活性化。いつもと違う道を通る、新しい店に入るなど、ささやかでいいので“初体験”を心がけて」
10) 知らない人との会話が脳の刺激に
「親しい人との会話は気楽で楽しいですが、緊張感が不足するかも。初対面やあまり話したことのない人との会話の方が、相手がどんな人か探りながら話すので脳への刺激も強くなります」
11)「スウェーデンの大学が行った調査によると、心配性な人ほど認知症になりやすいとのこと。人は笑うと脳が活性化し、心身もリラックスします。心配性な人は、意識的に声を出して笑ってみて」
12)喜劇俳優・大村崑(96才)は自分のことを高齢者ではなくて『幸齢者』と自負しています。今も、セリフ覚えに何の苦もないという。ジムでトレーニングを始めたのは86才、体が変わるのが感じられて面白くなったという。年をとっても幸せな人生があることを知ってもらいたい。だから体も頭も元気に保ち続けないと。やり過ぎず、長く、定期的に、目標を達成すべく続けることのようだ。
※女性セブン2024年2月8日号
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