残念ながら、世界大戦が二度も起きた反省から、国際連合での話し合いでの解決を願って80年に成ろうとするが、歩調はそろわない。
こんな折に、映画「カサブランカ」が放送された。この映画で、ラズロという汎ヨーロッパ主義を唱えるヒロインの夫には、モデルとなった人物がいて、それが日本人女性と結婚したクーデンホーフ=カレルギー伯爵の日本生まれの次男・リヒャルト・ニコラウス・栄次郎だった、というのも、今はある程度知られている。
フランス領モロッコのカサブランカでの出来事を描いた戦争をテーマにした映画である。1940年にドイツ軍がフランスに侵攻し、フランスはドイツに敗北した。当時は、ヨーロッパ戦線の激化により人々が、フランス領を経由してドイツの侵略から逃れアメリカへの亡命を図る人々が多くなった時期だった。フランスは和平派が政権を握り、かろうじて主権国家として存続していたので、カサブランカから飛行機で中立国であるポルトガルのリスボンへ行き、アメリカへ渡ることができた。
物語は、そのカサブランカで、リック(ハンフリー・ボガート氏)は、酒場「カフェ・アメリカン」を経営しているアメリカ人男性。皮肉屋だが人情家。渡航費が足りないブルガリア人夫婦が「カフェ・アメリカン」のカジノに来たとき、さりげなく勝たせてやるような人情家であった。その酒場にチェコスロバキア人のヴィクトル・ラズロ(ポール・ヘンリード氏)が、妻であるイルザ・ラント(イングリッド・バーグマン氏)を伴って現れる。二人もまたアメリカへの亡命を計画していた。ラズロは、ドイツに併合されたチェコスロバキアで抵抗運動の指導者として活動していた人物。
数年前、パリにいたイルザは、夫が亡くなったとの誤報を受けて、悲嘆に暮れていた。たまたま知り合いったリックに励まされる。二人は直ぐに恋仲になり、パリ陥落の報を聞いて、時間を決め駅で落ちあい脱出することを約束した。しかし、時間になっても彼女は現れず、小さなメモだけを残して去ってしまったのだ。
美しいイルザに出会った時、リック役のハンフリー・ボガードの口をついて出た名セリフは、日本語字幕では「君の瞳に乾杯!」と訳されている。映画のリックは、Here's looking at you, kidと言ってシャンパン・カクテルを飲んだシーンだ。
どうも、この映画の大半がアドリブで、「君の瞳に乾杯」というセリフもアドリブだったというが、愛妻を「キッド」と呼んでいたようで、ボギーならではの決めセリフとして記憶される。ハードボイルドの風格あるボガードが、一人旅をする潤んだ青い瞳のわけあり女性に、しらッとそんな風に声をかけるなんて、まさに40年代シネマ。白黒なのに、バーグマンの美しさが際立つ作品だ。
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