トランプ氏が3年間、NY州で企業の役員に就くなどの同州での企業経営も事実上禁止した。不動産事業を中心に「トランプ帝国」を築き上げたトランプ氏にとって大きな打撃となりそうだ。トランプ氏は控訴するとみられ、「保証金」を支払うことで執行が猶予される。
エンゴロン判事は「被告らは過ちを認める能力を持たず、証拠に背を向け、見ざる、聞かざる、言わざるの姿勢を取った」と指摘。トランプ氏の息子2人もNY州で企業の役員に就くことを2年間禁止するとしたほか、それぞれ401万ドル(約6億円)の支払いを命じた。トランプ氏らが、金融機関から新たな融資を受けることなども禁止した。
訴訟は2022年9月、同州のジェームズ司法長官(民主党)が起こした。ジェームズ氏は、トランプ氏らや親族企業「トランプ・オーガニゼーション」が、高層ビル「トランプタワー」などの不動産の価値を財務報告書で過大申告し、銀行から低金利で融資を受けていたと主張。不正利得として3億7000万ドルの返還などを求めた。裁判所は昨年9月、トランプ氏らが資産価値を過大申告したと判断し、審理では返還額などが焦点になっていた。
トランプ氏は同日、自身が立ち上げたソーシャルメディアを更新し、民主党のバイデン政権を念頭に「米国の司法制度が党派的で偏った判事や検事から攻撃を受けている」と投稿。「我々はいかさまジョー・バイデンからの迫害に対して戦う」と述べた。
11月の大統領選で返り咲きを狙うトランプ氏は、今回の訴訟のほかにも四つの刑事事件など複数の裁判を抱えており、訴訟費用が膨らみ続けている。
米紙ワシントン・ポストは1月末、トランプ氏の政治資金管理団体に当たる二つの政治活動委員会(PAC)が23年の1年間で、5560万ドルを弁護士費用などに充てたと報じた。このうちの一部は、選挙広告費用などに使う資金を管理する特別政治活動委員会(スーパーPAC)から補充されており、選挙運動に使える資金が訴訟費用に消えている格好だ。
また、同氏が 女性記者への性的暴行めぐる“名誉毀損”に対して、賠償命令123億円が出されている。
出典【毎日新聞ニューヨーク 2/17】(CNN) 米マンハッタンの連邦地裁の陪審は1月26日、トランプ前大統領が2019年の発言で作家のジーン・キャロルさんを中傷し、キャロルさんへの性的暴行を否定したとして、計8330万ドル(約123億4000万円)の損害賠償支払いを命じる評決を下した。
ジーン・キャロル(79)さんは、チアリーダーとして活躍しミス・インディアナ大学に選ばれたこともある。30年前のニューヨーク・マンハッタンの高級百貨店の下着売り場の試着室で被害を受けたと公表した。しかし、トランプ氏から「でっち上げ」などと否定され、1000万ドル以上の損害賠償を求めていた。
陪審はトランプ氏にの補償的損害賠償の支払いを命じた。内訳は名誉修復の取り組みのための資金として1100万ドル、19年のトランプ氏の発言で生じた精神的被害への賠償として730万ドル。トランプ氏が悪意をもってキャロルさんに関する発言を行ったとして、6500万ドルの懲罰的損害賠償の支払いも命じた。合計賠償額はキャロルさんが最初の訴訟で求めた額の8倍以上に上る。米メディアによると、キャロル氏は「打ちのめされても立ち上がる全ての女性にとってすばらしい勝利だ」と評決を評価する声明を公表した。
別のマンハッタンの陪審は昨年5月、トランプ氏がキャロルさんを性的に虐待したうえ、22年の発言でキャロルさんを中傷したり性的暴行を否定したりして名誉毀損(きそん)したと認定し、計500万ドルの損害賠償の支払いを命じていた。
これに対し、トランプ氏は「まったくばかげている! 評決には同意しない。私と共和党を標的とするよう指示したバイデン(大統領)の魔女狩りには上訴する」と自身のSNSに投稿し、控訴する方針を表明した。
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