ナワリヌイ氏は毒殺未遂に遭って療養先のドイツから2021年1月に帰国後、拘束・収監された。ムラトフ氏は「ナワリヌイ氏は3年間にわたり拷問を受けた」と非難し、これを裏付ける医師の証言もあったと述べた。
突然の死亡に衝撃が広がっており、独立系メディア「メドゥーザ」は「ナワリヌイ氏は、単なる政治家にとどまらない。彼の訃報は数百万人に痛みをもたらした」と指摘した。普段はナワリヌイ氏を取り上げることが「タブー」の国営メディアも死を報じた。
一方、ノーバヤ紙によると、ナワリヌイ氏の母リュドミラさんは「お悔やみの言葉など聞きたくない」と取材に回答。今月12日に極北の刑務所で面会したばかりだと明らかにした上で「生きていて、健康、陽気だった」と振り返った。
出典 時事通信2/16 ナワリヌイ氏は、反プーチン政権の象徴的な存在だ。元々は弁護士で、2011年の下院選で政権与党による不正を追及し、大規模デモを主導したことで知られてきた。インターネットで政権の腐敗ぶりを暴露し、13年のモスクワ市長選では、プーチン大統領側近の現職に対抗して立候補した。そこで善戦したことで、政権側が弾圧強化に転じたとされる。18年の大統領選には出馬を認められなかった。
20年には、露国内で猛毒ノビチョク系の神経剤による襲撃を受けた。21年に療養先のドイツから帰国と同時に拘束された後、過去に受けた有罪判決の執行猶予が取り消されて収監され、昨年末に北極圏の刑務所に移送されていた。
3月の大統領選に向け、プーチン大統領以外の候補者への投票を呼びかけるキャンペーンを獄中から実施していた。
ロシアの独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ」によると、ナワリヌイ氏の弁護士が14日、刑務所で面会した際には体調に問題はなかったという。発表によると、ナワリヌイ氏は16日、散歩の後で「体調が悪い」と申し出た後、意識を失った。刑務所の医師が対応し、救急車を呼ぶなどしたものの、死亡が確認されたという。死因は調査中だとしているが、臆測を呼びそうだ。
タス通信によると、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、ナワリヌイ氏の死亡がプーチン氏に報告されたと記者団に明らかにした。
出典 読売新聞’2/16
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