ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、8日に公開された米右派テレビ司会者タッカー・カールソン(Tucker Carlson)氏によるインタビューで、ウクライナでロシアを打ち破ることは「不可能」だと西側諸国は理解すべきだと述べた。
ウクライナ侵攻開始から、今月22日で丸2年が経過する。プーチン氏はモスクワのクレムリン(Kremlin、ロシア大統領府)で6日、米保守系テレビ局FOXニュース(Fox News)の看板司会者だったカールソン氏による2時間に及ぶインタビューに応じた。西側メディアによるプーチン氏への一対一のインタビューは、2019年以来初めて。
プーチン氏はウクライナ侵攻について、米欧や北大西洋条約機構(NATO)がウクライナを支援してもロシアの敗北はないということに、西側諸国はもはや気づいているはずだとの考えを示した。
NATO加盟国のポーランドやラトビアなど、ウクライナ以外の国々や欧州大陸全体への侵攻を考えるかとの質問に対しては、「問題外」であり、「他のどこにも関心はない」と回答。ポーランドとの戦争が起こるとすれば、「ポーランドがロシアを攻撃した場合に限られる」と話した。
またプーチン氏は、米国の政権および議会に対するメッセージとして、「ウクライナ紛争を本気で終結させたいのならば、武器供与をやめなければならない」と述べた。
米国で11月に行われる大統領選は、ジョー・バイデン(Joe Biden)現大統領とドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領の再対戦になると予想されているが、トランプ氏が主導する共和党はウクライナ支援にますます消極的になっている。
政権交代の可能性について問われたプーチン氏は、「別の指導者が来れば、何かが変わるかって? それは指導者の問題でも、ある特定の誰かの人格の問題でもない」と述べ、選挙結果にかかわらず大差はないとの見通しを示唆した。
インタビューを行ったカールソン氏は、トランプ氏との親しい関係が知られている。トランプ氏は大統領時代、そしてバイデン氏に敗れてからもプーチン氏を繰り返し称賛し、ウクライナ侵攻も非難しなかった。
対照的にバイデン氏はプーチン氏を「戦争犯罪人」と呼び、自身の政権の最優先事項の一つとして、民主的に選ばれたウクライナの親欧米政権への支援継続を掲げている。
【AFP=時事】【翻訳編集】 AFPBB News
その後、ロイター通信は13日、ウクライナを侵略するロシアが米国に対して、現在の占領地域を維持した上での「停戦」を呼びかけたものの米国が断ったと報じた。米国は、ウクライナ抜きでの交渉を拒否したという。露側の情報筋3人の話として伝えた。これはロシアによる情報戦の一環の可能性がある。米当局者はロイター通信に、露側で対話を模索する非公式な動きがある模様だが、米国は関与していないと述べ、米露間の協議を否定した。
報道によると、プーチン露大統領は2023年、中東のアラブ諸国など仲介者を通じて、停戦協議の用意を米国側に伝えた。ウクライナ東・南部4州の露占領地域は返還しないとの考えを改めて示したという。仲介者らによる会合が23年末頃に、トルコで開かれたとしている。米国のジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官とロシアのユーリー・ウシャコフ大統領補佐官をつなぐ構想だったとされるが実現しなかったという。
2024年02月16日
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