韓国情報機関の国家情報院は8日、イスラエルと衝突するイスラム組織ハマスに対し、北朝鮮が兵器を提供した証拠を持っていると明らかにした。北朝鮮製のロケット弾発射機「F7」の写真を報道公開し「兵器提供の規模や時期についても具体的な証拠を蓄積している」と説明した。証拠とする写真の公開は初めて。
米政府系メディアのボイス・オブ・アメリカ(VOA)が5日、ハマスが使ったロケット弾発射機の部品にハングルの表記が発見され「ハマスが北朝鮮製を使用したという疑惑が強まった」と報じた。韓国国情院は「報道と同様の判断をしている」と表明した。
VOAが紹介したハングル表記のある部品を「F7の中間部分だ」と分析した。砲弾の起爆装置とみられる。そのうえで該当する部品に丸印をつけた写真を報道機関に提供した。
イスラエルとハマスの衝突が始まった2023年10月、韓国軍はハマスが北朝鮮製の兵器を所持している可能性に言及していた。当時は具体的な証拠を示していなかった。北朝鮮はハマスとの武器取引を「根拠のない説」だと否定した。
国情院はロシアによる北朝鮮製ミサイルの使用についても「韓米当局が緊密に協力し追跡してきた」と言明した。が国連安全保障理事会の決議に違反するとして「直ちに中断されなければならない」と強調した。
韓国は北朝鮮が5〜7日にかけ3日連続で南北の境界線付近で砲弾射撃をしたと発表し、警告を繰り返す。北朝鮮は6日の砲撃について爆薬を爆破させただけだと表明し、韓国側が「低級な扇動だ」と反発するなど心理戦が激しさを増している。
韓国政府は北朝鮮による紛争地域での兵器取引を公にし、制裁違反の実態を広く世界に知らしめる効果を狙っているとみられる。
出典 日経新聞(1/8)
2024年01月09日
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