ゴーンについて長く取材するジャーナリストの形山昌由氏が語る。
「10月中旬、レバノンの司法当局はゴーン被告に対し自宅からの退去命令を出しました。これは、レバノン国内におけるゴーン被告の影響力が低下していることの証左です。レバノン政府がゴーン被告をかばう気がなくなったことを意味しているとも言えます」
レバノン政府関係者が次のように証言する。
「レバノンは以前から深刻な経済危機に陥っています。通貨価値は暴落し、実に国民の7割以上が貧困状態に陥っている。ガソリンスタンドには長蛇の列ができ、廃業する飲食店も後を絶たない。首都のベイルートですら、ゴーストタウンと化しているのです。
しかしゴーンは、日産の会長時代からレバノンに何ら支援をしてこなかった。そのくせ、自分が日本で刑事事件を起こし起訴されると、一転、レバノンに逃げ込んだ。逃亡当初から、レバノンではゴーンに対する反感は大きかったのです」
そこで彼は、イメージアップのためのアピールを繰り返してきた。レバノン国内でカネをバラまいたのだ。
「ゴーンは銀行や出版社、ワイナリーなど数多くの企業を所有しており、長男や長女だけでなく、キャロル夫人にも会社を持たせ、世界各地に資産を隠し持っていたのです。その資産は日本円にして70億円を超えると言われていました。その莫大な資産を元手に、ゴーンはレバノンの大臣、裁判官、軍関係者、ジャーナリストなど多方面にカネを配りまくった。レバノンの支配層を占めるキリスト教マロン派の大学に多額の寄付をしたり、自身の潔白を主張するドキュメンタリー映画や自伝を出したこともある。昨年10月には、政財界の要人を招いてパイプを作るために、ベイルートに高級バーまでオープンしています」(同前)
だが、いくらゴーンといえど、無尽蔵にカネがあるわけではない。昨年4月、日産とルノーの統括会社の資産を不正に利用した疑いでフランスがゴーンを国際手配。これに応じなかったため、今年4月に再び手配されると、ゴーンの海外資産が相次いで差し押さえられるようになった。
レバノン政府関係者は、「日本での保釈金15億円は没収され、逃亡にも約16億円がかかったと言われている。そんななかカネをバラまいた上、資産凍結も始まった。このため、ゴーンの資産はすでに4割以上減っているとされています。カネの切れ目が縁の切れ目。現在、表立ってゴーンを擁護する人間はレバノンの政財界には見当たりません。だからこそ、司法もゴーンに対し自宅からの退去命令を出したのです」
ゴーンがレバノンから追い出される日も近い。
出典「週刊現代」2023年11月25日号 ゴーンは日本からの逃亡以来、レバノンの首都・ベイルートの高級住宅街に建つ豪邸に住んできた。だが実は、この邸宅は日産時代にゴーンが自身の”福利厚生”のために購入したもので、所有者は日産の関連会社だった。改装費用などを含め、物件購入のためにかかった金額は1900万ドル(約28億5000万円)に及んだという。
「当然、日産側は立ち退きを求め、'19年に関連会社を通じてレバノンの裁判所に提訴しました。ゴーン被告は『そもそも自分の居住用に購入したものだ』などと主張し、約4年におよぶ長期裁判になりました」(追跡取材の関係者)
早いものでカルロス・ゴーン日産自動車元会長が逮捕されてから5年がたつ。東京地検特捜部がゴーン元会長とグレッグ・ケリー元代表取締役を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の容疑で逮捕したのは2018年11月19日だ。
逮捕から2年後、保釈中のゴーン被告は自身の雇った腕利きたちの手引きにより、変装し、箱の中に身を隠し……という映画を連想させる手口には誰もが驚愕し、極秘に日本から脱出。ゴーンはルーツともいえるレバノンに身を寄せ、それ以降、日本は彼を国内で裁くことができないまま司法当局は地団駄を踏んだのである。
皮肉なことに、彼を自由にしたことでがぜん注目された軍事コンサルタントのほうはアメリカで逮捕され、日本で裁きを受けることとなった。
逮捕後のコンサルタントらの経緯は以下のHP参照
https://news.yahoo.co.jp/articles/fcb27e6ec5976ecaefdd409f39cc26d8fe77f083
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