これを行政用語でいうと「不本意同居老人」。そんなうれしくない言葉があったそうですが、今は不本意同居がほとんどなくなりました。
そもそも子どものほうだって同居なんかしたくない。年寄りのほうは自分ひとりじゃどうしようもないから、不本意ながら行っていたわけです。それが最近は、「いいから、いいから。まだひとりで大丈夫。もうちょっと弱ったら頼む......かもね」。
介護保険制度ではおひとりさまでもさまざまな介護サービスや福祉サポートを受けることができ、夫亡き後は遺族年金が受給できます。
昔はひとり暮らしになった高齢者は子どもからの仕送りで生活していました。仕送りしてもらっておいて「私はここにいたい。そっちの家には行きたくない」とは言いづらいでしょうから、不本意同居もやむなしという状況だったといえます。
そういう意味では、現代は社会全体が豊かになったのです。だから「行かない、同居しない」と言えるようになった。ひとり暮らしはお金がかかりますからね。
ところが今、電気代やガス代が上がっています。こんなに光熱費が高くなると「もうひとりでは暮らしていけない」なんて声も聞こえてきそうです。
もしかしたら、「不本意同居老人」がまた増えるかもしれませんね。
※遺族年金
遺族基礎年金と遺族厚生年金がある。亡くなった人によって生計を維持されていた遺族は、亡くなった人の年金の加入状況などにより、いずれか、または両方の年金が受け取れる。
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