ローレン・ヒルデンブランドさんは55歳で早期退職するまで、グッドイヤー(Goodyear)の研究員として働いてきた。仕事熱心だったヒルデンブランドさんは時間を持て余し、過ごし方を模索していた。91歳になったヒルデンブランドさんは女性がスポーツをすることを奨励されていなかった時代に育ち、その後も運動する時間を取れなかったと言う。ようやく自由を得たヒルデンブランドさんはピックルボール、ボッチャ、サイクリング、ローラーブレード、ランニング、卓球など、できる限りたくさんのスポーツに挑戦した。夫やその同僚たちと卓球を始めると、そこで50歳以上の人々がテニスや水泳、5000メートル走などを競うシニアのためのスポーツ大会National Senior Gamesの存在を知った。
シニア層 −− 特に普段からだを動かす習慣のない人 −− への彼女からのアドバイスは、競争心を燃やし、スポーツを始めることだ。定期的な運動は慢性疾患による早期死亡を予防し、脳の機能低下を防ぎ、一般的に長生きにつながることを科学は示唆している。
「ビックボールの試合もするし、子ども達のインストラクターもします。いろいろなスポーツをやっていますが、それぞれにお友達がいるんです」
運動と並んで、友人関係を維持することは実は、年齢を重ねてから健康に過ごすための方法として科学的に裏付けられている。精神的に元気な高齢者は、家族や友人と強い絆で結ばれている傾向があることが研究で示唆されている。
ヒルデンブランドさんは、他の高齢者にもスポーツをやってもらいたいと話している。自分は生まれつき特別なわけではないという。きょうだいは上も下も「何年も前に亡くなっている」そうだ。それでも、運動することで長生きをし、充実した人生が送れているし、競争することでもっと楽しくなるという。
「からだを動かすだけでなく試合をする楽しみもあるので、もっとできるようになりたいと思うんです、健康状態が良くなっていることにも気付かず」
Insiderの取材に、ヒルデンブランドさんは日々の詳しいルーティンと、どのようにしてスポーツを楽しみながらアメリカのオハイオ州にある24エーカーの敷地の手入れを両立させているのか明かしてくれた。朝はフラックスシード入りのオートミールを食べ、コーヒーを飲みながらニュースを見ることから始まる。
1日を通じて、水もたっぷり飲む。去年は太陽が照り付ける中でピックルボールの大会に出て、途中で気を失いそうになったという。パートナーがすぐに水と濡れタオルを持って駆け寄ったが、ヒルデンブランドさんはすぐに持ち直した。数分休んですぐに試合に戻ったものの、そのことがあってから日々のルーティンの中でも水分補給を大事にするようになった。
ピックルボールの指導から広い邸宅の木の伐採まで、ヒルデンブランドさんの日々の"やるべきこと"は多岐にわたる。ベッドに入るのはミントチョコチップやムーストラックスのアイスクリームを食べた後、午後11時半か12時だ。
出典 Business Insider JAPAN(6/3)
運動が脳を育ててよい状態を保ち、ストレス、認知症、ホルモンバランスなど、様々な悩みを解決することを明らかにしたジョン・レイティのロングセラー。発行部数は、2023年現在、15万部を突破している。
たとえば、2000年、デューク大学は、アメリカの全国学力調査と体力調査では、朝に運動をした子どもの成績が上がるという相関関係が示されたた。また、うつ病の治療には、専用の商品である塩酸セルトラリンより、運動の方が効果があることを証明したと報じられた......などなど、運動が脳と気持ちに及ぼす絶大な効果を示す事例が盛りだくさん。
勉強の成績だけではない。運動をすると脳の神経成長因子が35%も増え、ストレスやうつを改善し、認知機能の衰えを防ぐ。さらに運動は、不安や注意散漫、依存症とも関連しているという。
ジョンJ. レイティさんプロフィール
医学博士。ハーバード大学医学部臨床精神医学准教授。マサチューセッツ州ケンブリッジで開業医としても活躍。研修医訓練の監督補佐を務めるマサチューセッツ精神衛生センターでは10年以上にわたって研修医やハーバード大学医学部学生たちを教える。また、ハーバード大学医師生涯教育プログラムの常勤講師として精神科医たちを教えている。臨床研究者として精神医学と精神薬理学分野のピアレビュー専門誌に60以上の論文を発表。1986年にはボストン自閉症研究センターを設立、また、攻撃的行動への新しい投薬治療についての彼の研究から、88年にはアメリカ精神医学会に新しく攻撃性に関する研究会が生まれた。80年代にエドワード・ハロウェル医師とともにADHDの研究を始め、94年に初めてこの障害を分かりやすく説明する著書『へんてこな贈り物』(インターメディカル)を執筆。97年には臨床的障害のより軽微な症例について研究した『シャドー・シンドローム〜心と脳と薬物治療』(河出書房新社)をキャサリン・ジョンソン博士との共著で発表。また2001年にはベストセラーとなった『脳のはたらきのすべてがわかる本』(角川書店)を刊行し、神経科学が感情や行動、そして心理学全般に与える影響について論じた。1998年から毎年、同業者の選出による全米ベスト・ドクターのひとりに選ばれ続けている。また最近では、本書のテーマである定期的な有酸素運動の普及に貢献したとして、非営利団体PE4lifeより最優秀支援賞を受けている。
2023年06月04日
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