ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対し、ロシア人義勇兵による「反乱」が起きている。プーチン政権の打倒を掲げ、ウクライナ側でロシア軍と戦うロシア人義勇兵団体が22日、通信アプリに、ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州の一部を「解放した」と投稿したのだ。
24日付の産経新聞は、義勇兵らの取りまとめ役とされるロシアの元下院議員、イリヤ・ポノマリョフ氏への取材をもとにロシア人義勇兵団体の詳細を伝えている。ポノマリョフ氏によると、義勇兵は約4000人おり、「自由ロシア軍」「ロシア義勇軍」「国民共和国軍」の3団体が存在する。3団体は昨年8月末、キーウ近郊のイルピンで、ウクライナ軍と共闘するとの宣言に署名。
ポノマリョフ氏は「ウクライナの勝利とロシアの自由のため、ロシア人部隊は全力で戦う」と語っており、宣言では「ウクライナは勝たなければならない。プーチン政権を崩壊させる」と謳ったとする。
ロシア軍兵士が自軍の略奪や性犯罪といった戦争犯罪に嫌気がさしたり、もともとウクライナにいたロシア人が義憤にかられたりして、義勇兵になるケースが多いという。
ベルゴロド州での交戦について、ウクライナ政府は「状況を注視しているが、ウクライナは関係ない」と関与を否定している。ただ、「解放した」と宣言したのは、ウクライナサイドに立ってロシア軍と戦うロシア人義勇兵団体「自由ロシア軍」と「ロシア義勇軍」だった。
一方、ロシア主要メディアは、ベルゴロド州に22日、ウクライナの破壊工作グループが侵入し、国境付近の町で住宅や工場など数カ所を銃撃したと伝えた。これに対し、ロシア軍や連邦保安局(FSB)が合同で掃討作戦を実施したとされている。
英国防省の分析によると、19日から22日にかけて、ベルゴロド州内の少なくとも3カ所でロシアの治安部隊と破壊工作グループが衝突した可能性が非常に高いという。グループについては「正体は確認されていないが、ロシアの反体制派が実行を主張している」と説明した。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領率いるウクライナが今後、ロシアへの大規模反攻に出る見込みのなか、祖国との戦闘という形で「反プーチン」の姿勢を示す義勇兵団体はどんな存在なのか、注視されている。
出典 産経新聞(5/24)
2023年05月25日
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