カリフォルニア大学アーバイン校でアジア研究を教えるジェリー・ウォン・リー教授は「大谷は、アジア人であることが『クール(格好いい)』だと思わせてくれる」と言う。自身も韓国系2世で、大の野球ファンである。
アメリカの歴史を通して、アジア系アメリカ人は「異質」「エキゾチック」な存在として見られてきた。アメリカで生まれ育ったにもかかわらず、見た目だけで「外国人」のように扱われてきたのだ。私の経験からも、アジア人に「非力」「頼りない」「何を考えているか分からない」といった偏見を持つアメリカ人は多いと感じる。そのため、多くの人が、なるべく「アジア」の部分を隠して、白人社会に溶け込もうとしてきた。
「野球を見るのは好きですが、スター選手のうぬぼれた態度は見ていられません。選手としての価値を下げます。その点、翔平は見ていて清々しいです。……試合前のウォームアップに、通訳やトレーナーなんかと出てくると、とても気さくな感じに見えます。インタビューに答える時も、いつも笑顔です。常に楽しんでいるように見えます」
「自分のいる立場や環境を受け入れ、それを楽しみ、感謝の気持ちを忘れない。大金を手に入れてうぬぼれて、ありがたみを忘れてしまう選手もいますから。判定が気に食わないからといって、審判に失礼な態度をとるなんて許されません」
「翔平は特大ホームランも打ちますが、三振することもあります。でも、かんしゃくを起こしたり、バットを叩きつけたり、審判をにらみつけたりはしません。とてもありがたいことです。ウォーカーに教えようとしていることですから」
「三振することもあれば、エラーすることもあれば、間違った判定をされることもあります。でも気持ちを切り替えなければ、次のプレーに影響してしまいます。翔平は冷静に受け止め、対処しているように見えます。もしかすると、冷静でいられるよう教えられてきたのかもしれない。日本の文化は、この国の文化とは違うはずですから。なので、そこから他者への敬意が生まれているのでしょう」
「イチローもそうですが、対戦相手や野球というスポーツに非常に敬意を払う。大谷の不満な表情を見たことがありません。いつも冷静で、他人のせいにしたりしない。アメリカでは、子供ですらグラブを地面に投げつけるのに。そんな彼を嫌いだという人は少ないでしょう」
「アジア系アメリカ人は、あまりアジアのルーツに誇りを持てていませんでした」とリー教授。「でも、大谷のように野球の実力だけでなく人格も優れているロールモデルを見て育つ若い世代は、そう感じないで済みます。同じアジア人として自分と重ねてみて、誇りを感じられるからです。『アジア人でもスターになれるんだ』という認識が当たり前になる。私の世代には、そういう存在がいませんでした」
大谷が特別なのは、野球というアメリカの4大スポーツで、「誰もが認める一番の選手」になったことだとリー教授は言う。
「野球を見るのは好きですが、スター選手のうぬぼれた態度は見ていられません。選手としての価値を下げます。その点、翔平は見ていて清々しいです。……試合前のウォームアップに、通訳やトレーナーなんかと出てくると、とても気さくな感じに見えます。インタビューに答える時も、いつも笑顔です。常に楽しんでいるように見えます」
「自分のいる立場や環境を受け入れ、それを楽しみ、感謝の気持ちを忘れない。大金を手に入れてうぬぼれて、ありがたみを忘れてしまう選手もいますから。判定が気に食わないからといって、審判に失礼な態度をとるなんて許されません」
「翔平は特大ホームランも打ちますが、三振することもあります。でも、かんしゃくを起こしたり、バットを叩きつけたり、審判をにらみつけたりはしません。とてもありがたいことです。ウォーカーに教えようとしていることですから」
「三振することもあれば、エラーすることもあれば、間違った判定をされることもあります。でも気持ちを切り替えなければ、次のプレーに影響してしまいます。翔平は冷静に受け止め、対処しているように見えます。もしかすると、冷静でいられるよう教えられてきたのかもしれない。日本の文化は、この国の文化とは違うはずですから。なので、そこから他者への敬意が生まれているのでしょう。
出典 文春オンライン(4/13)
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