試合開始の2時間半ほど前。打撃練習用のケージを取り囲むように集まった各国の報道陣やOB選手がざわめき立った。背番号「16」が打席に向かうと、いち早く駆けつけた観客席のファンからはもちろん、フィールドレベルでも「ヒュー!」という声が上がった。
視線が集まる中、大谷は次から次へと右翼最上段に打球を放り込んだ。圧巻だったのは、右中間に設置された巨大ビジョン付近までかっ飛ばした一発。思わず笑いが沸き起こるほどの、驚異的な飛距離だった。
大物OBすらも目を丸くした。メジャー通算282本塁打、オリックスにも在籍したアダム・ジョーンズ氏は「ボールが本当にかわいそうだった。あまりに強烈だったからね。ボールに同情するよ」とため息を漏らした。メジャー通算251勝左腕のCC・サバシア氏も「いい打撃練習だったね! 彼は史上最高の選手の1人だ」と興奮気味に頷いた。
ケージの真後ろから見届けていたMLB公式のサラ・ラングス記者は「信じられないほど素晴らしいです」と目を輝かせた。強烈な打球はもちろん、なにより印象に残ったのは周囲の“異様な”光景だ。
「誰かの打撃練習を見るために、あんな風に全ての人が手を止めるところは今まで見たことがありません。アメージングです」
2023年04月09日
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