韓国でもWBC日本代表の大谷翔平投手(28=エンゼルス)の粋な計らい≠ェ話題だ。準決勝以降の戦いに向けて17日に米マイアミ入りした際、同じ1次ラウンドB組で戦ったチェコ代表の帽子をかぶっていたことを韓国メディアも速報で伝えた。
画像とともに報じた日刊(イルガン)スポーツ(電子版)は「大谷はチェコの浪漫野球≠ノ深い感銘を受けた」とし、チェコ代表の大半が電気技術者や消防士などの本職を持っていたことなどを詳報。大谷が自身のSNSに「Respect」(リスペクト=尊敬)とつづってチェコの選手の写真をアップしたり、チェコの選手たちにサインボールやバットをプレゼントしたこと、取材時に「実力と関係なくチェコの選手たちが野球が大好きなのを感じた。尊敬すべき点だ。立派な選手たちだ」などとコメントしていたことを紹介した。
また、チェコ野球協会が公式ツイッターを通じて「さりげなくチェコの帽子をかぶって米国に到着した。本当に光栄だ」と即座に反応していたことも伝えた。
韓国メディアは、5大会連続で4強に進出した侍ジャパンの強さを熱心に分析している。大谷を中心に投打がかみ合って破竹の5連勝。3年連続1次リーグ敗退の韓国とはあまりに対照的だが、現地メディアOSENはそんな日本を「圧倒的な競技力、国民的な野球愛と熱気で野球強国の威容を見せている」と評している。
その強さの秘密を「日本は2008年の北京五輪で韓国に負けて学んだ」とも分析。北京五輪で韓国は金メダルを獲得し、日本はメダルを逃した。「日本の黒歴史で残っている。韓国に2度も敗れ、ノーメダルの屈辱を受けた。北京惨事はアジア最高を誇っていた日本野球に大きな影響を与えた」と同メディアはこれを「北京惨事」と名づけ分岐点になったと見ている。「監督や選手を批判するのではなく、韓国の団結力を学ぶべきだ、として侍ジャパンの名称が誕生した。」敗北から学んだことで2009年のWBC優勝、東京五輪の金メダル獲得と現在の隆盛につながっているとした。
韓国メディアは「15年前に韓国を学ばなければならなかった日本のように、韓国も今回の失敗を境にして飛躍しなければならない。監督や選手を非難して大罪人を作って終わるのではなく、野球発展のために現実的な対策を講じなければならない」と今度は韓国が学ぶ番と結論づけた。
出典 東スポ まだ、大谷翔平が日本で活躍のことだが、入団3年目の2015年のオールスター後、当時、私がキャスターを担当していたスポーツニュース番組に生出演してくれたのでした。その後、大谷はお台場から少し離れた場所に用意していた食事会場ではなく、生放送後にすぐに行ける社食で大丈夫ですと僕に伝えてきました。
「社食?」「牛丼?」「ほんとにいいの?」
ハテナマークが僕の頭の中に浮かぶ中……大谷選手らと社食に向かい、他の社員さんがいる中で300円の牛丼を食べました。楽しそうに、にこやかな表情を浮かべながら、本当に美味しそうに牛丼をほおばっていました。
時間の使い方を最も大切にしていた大谷選手にとって、お台場からレインボーブリッジを渡っていく食事会場への時間は勿体ないと考えていたのです。20歳前後なのに……感服でした。
“明日やるべきことはすべて決まっている。時間の使い方は考え抜いている。18時にマウンドに上がる時には、そこからすべて逆算して1分1秒を大切に組み立てていく”
これが日本に居る時からの大谷青年でした。少しの時間も無駄にしない。オンエアで出会う大谷翔平は常に時間と向き合っていました。
海を渡り、アメリカ大リーグに挑戦してからもエンゼルスのロッカールームでは規則正しく、規律正しく、時間を無駄にしないルーティンを続ける大谷翔平がいました。
着替える時間、身体をほぐす時間、ベンチ裏でバットを振る時間、各選手とコミュニケーションを図る時間……無駄な時間は全くありませんでした。その中でもデータを見る時間、映像を確認する作業に時間を費やし、その時間を大切にしている大谷選手がいました。データ、映像を見ながら自分の動き、プレーを想像し、動きのイメージを頭の中で膨らませている姿が見て取れました。リアルに身体を動かす時間以外に、常に頭の中で想像し、頭の中でプレーをしている時間も特段大切にしているのだと気付かされました。
今の活躍ぶりを見ていると肘の怪我を乗り越えたこと、トミージョン手術を行ったことさえも忘れそうになります。肘の傷はとても長い。10センチくらいでしょうか、縫い傷の跡が残っているんです。
ロッカールームで「手術跡を少し見せてくれますか?」と聞いたら、にやっと笑いながら「ダメですよ(笑)。絶対に見せません」と答えてくれたのを思い出します。
自分の傷や、苦しみや痛みを絶対に他に見せない。自分の中で閉じ込め、自らと向き合い解決していく。それを力に変えていく大谷翔平もいました。
「僕は二刀流をやっているとは思っていません。打って、投げて、走って。野球をやっているだけです。野球をやっているだけですから。」二刀流という言葉を彼が極力使わない理由はここにある気がします。「二刀流」ではなく「野球」をやっている。野球全てのプレーを堪能している。
だから時間を切り詰める、時間を無駄にしない、動いていない時は頭で想像する、イメージする。辛いなんて言わない、言っている暇はない、すべてプラスに転換させる……だからこそ人の何倍も時間を要するはずの二刀流を成功させている、ピークをここという時に合わせ、パフォーマンスを最大化させることが出来る。久しぶりに日本でプレーしてくれている大谷翔平選手を観て、色んな答え合わせが出来た気がしました。
今でも牛丼を食べると……目の前でにこやかに、楽しそうに食事をしている大谷青年の顔を思い出す。そして、割りばしの箸袋にこんな文字が浮かび上がってくる…「時間は無限ではなく有限」だと。
◆ ◆ ◆
文春オンライン(田中 大貴 3/15)
2023年03月18日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック