アジア圏が約44億人で55%に上り、中国とインドの2か国(約28億人)だけで全体の35%を占める。インドは来年、中国を抜き、世界最多となる見通しだ。
37年頃に90億人、58年頃に100億人を突破し、その後は、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子ども数の推計値)の低下などによって、ほぼ横ばいとなる見込みだ。
■島のみ込む海
国連は報告書で人口の急速な増加が「地球温暖化や気候変動など様々な環境劣化を引き起こしている」と指摘し、「化石燃料への過度の依存から脱却する必要がある」と警鐘を鳴らした。
化石燃料の使用などによる二酸化炭素(CO2)の排出量は過去半世紀で倍増した一方、1990年以降、日本の国土の11倍超にあたる面積の森林が消失した。
温暖化の影響として「小さな島国が海面上昇の危機に直面している」と指摘。南太平洋の島国ツバルのナタノ首相は8日、エジプトで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で「温暖化する海が我々の土地をのみ込み始めている」と訴え、各国に化石燃料の廃止を求めた。
海面は今世紀末で最大55センチ上昇するとの予測もある。平均海抜約2メートルのツバルでは国土消失の危機に直面している。インド洋の島国モルディブも国土の大半が水没する恐れがあり、人工島への住民移住を進めている。
■食糧不足
食糧問題も深刻な課題だ。報告書は「人口の増加が見込まれる多くの国が低所得国だ」と指摘し、「飢餓」が増える可能性を指摘した。特にアフリカは、現在の約13億人から約25億人に倍増すると予測される。アフリカではすでに気候変動による干ばつに加え、ロシアのウクライナ侵略による穀物価格の急騰に直面しているが、今後は一層厳しい状況に置かれそうだ。
国連世界食糧計画(WFP)によると昨年、アフリカ諸国を中心に約8億2800万人が飢餓状態となった。特に南スーダンは来年、国民の3分の2にあたる780万人に命の危険が迫る「深刻な飢餓状態」に直面する恐れがあるという。
国連は報告書で、先進国が低所得国に対し、「技術協力や資金援助」する必要性を訴えている。
出典 読売新聞(11/14)
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