入浴や洗濯、食器洗いなどに用いる合成洗剤の使用を島ぐるみで取りやめ、無添加せっけんに替えると、海の環境や生き物にどのような影響があるか――。そんな産学官連携の実証実験が1日、福岡県宗像市沖の地島で始まった。住民およそ140人に去年9月からの3か月間、入浴や洗濯などに無添加のせっけんだけを使った。
実験に取り組むのは、シャボン玉石けん(北九州市若松区)と山口大大学院創成科学研究科、九州環境管理協会、宗像市の4者で、期間は11月までの3か月間の予定。島内の一般家庭全62世帯(7月末時点)と市立地島小、漁村留学の子どもたちの生活拠点「なぎさの家」に協力を呼びかけ、入浴や洗顔、手洗い、歯磨き、衣類の洗濯、食器洗いなどで合成洗剤の使用を中止し、替わりに合成界面活性剤や香料、着色料などを含まない同社の無添加せっけんを使ってもらう。
そのうえで2週間に1回程度、島に2か所ある下水処理場で海に流す前の水や汚泥のサンプルを採取。洗浄剤の変更が生活排水に与える影響について、分析やデータ解析を進める。
川や海に流れた無添加せっけんは短期間で水と二酸化炭素に生分解され、せっけんかすは魚や微生物の栄養源となるため、環境への負荷が小さいという。生後4か月の長女を抱いて出席した女性(32)は「漁業が島の主な産業だが、水揚げが減っている。娘や島の将来のために実験に協力したい」と話した。その結果、島の下水処理場から海に放流される水に含まれる有機物が減って、水質が改善したということです。地域全体でせっけんを使う試みは珍しく、海洋環境の保全につながる成果が期待される。
実験結果は2022年以降に公表する予定で、同社は「実証実験を通じて、漁業や海の環境保全、環境意識の向上に寄与していきたい」としている。
出典 NHK(9/27)
2022年11月09日
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