今後はスウェーデン、ノルウェー、オランダ、ベルギーとされる。スペインでも長子制に移行または準備に入っており、いずれ女王が次々に誕生する見通しだ。
棺には長男である新国王が選んだ花輪の上に「愛と献身的な記憶のなかで チャールズ」という国王直筆のメッセージカードも置かれた。1947年の女王の結婚式でブーケに使われた小枝から育てられたギンバイカ、愛の強さを象徴するヨーロッパナラの葉などで作った花が添えられていた。英王室などによると、花輪の材料は、ロンドンのバッキンガム宮殿や、国王の皇太子時代の公邸クラレンスハウスなど、女王と国王の思い出の場所から摘まれたという。
ブーケはささやかだが、元王室警備員から提供された葬儀全体の経費見積もりによれば、ウイリアム王子の婚儀より多額の税金でまかなわれ、英史上もっとも高額な国家的祭事となった。英紙「デイリー・ミラー」は、エリザベス女王の国葬にかかった費用は800万ポンド(約900万USドル、1ドル=140円で換算すると約13億円)で、安倍氏国葬の儀は27日、武道館において催行。全体費用は16億円超を見込んでいる。
故・サッチャー氏は女王より半年ほど早く生まれた。保守党から議員に立候補したが落選し、弁護士試験の勉強中だった時の女王の即位だったため、女王の即位がどんな意味を持つのかを熱心に書ている。
「この若くすてきな女王が国の最高位に就く。女性が高みを目指すことへの偏見を取り除く助けになるだろう」
「もっと多くの女性が結婚とキャリアの両立を目指すようであってほしい。この2つの両立モデルへの偏見は男性だけでなく女性のなかにもある」
英国でも男性優位が続いた時代、女王は積極的に自分の役割を模索して開拓した。サッチャー氏は英国初の女性首相となった。
今は恒例となったクリスマスのテレビ出演を始め、公務先で王室メンバーが群衆の目の前まで行って交流するのは女王自身のアイデアだった。英王室は政治中立が慣例だが、冷戦期の西ドイツ訪問や黎明期の国連で演説するなど、歴史的な役割を幾度も演じた。英王室の将来にあわせ、性別にかかわらず第1子が王位を承継する制度を整えたりするなど革新性もあった。9月8日、滞在先の英北部スコットランドのバルモラル城で死去した。96歳だった。在位70年7カ月は歴代の同国君主で最長。第2次世界大戦後の英国史のほぼ全てを見守り、亡くなる直前まで精力的に公務をこなした。
英王室と女性の権利の関係に詳しい米ボストン大学のアリアン・チャーノック教授は女王は声高なフェミニストでは全くなかったとみている。「彼女は行動を通して、言葉よりもはるかに力強く、男性の領域とみられていた場所で女性のあり方を示し、米国など他の国の女性たちの意識や社会進出にも大きな影響を与えた」としている。
イギリスでは70年以上もエリザベス女王が君主だったものの、性別にかかわらず、第1子が王位継承をすると改定されたのは、2011年のことで、たったの11年前のこと。これはヨーロッパの他の王室よりも遅く、スウェーデンでは1980年に、オランダでは1983年に、ノルウェーでは1990年に、ベルギーでは1991年に第1子が王位継承順位1位となるように改正されている。2011年にイギリス連邦で女王を国のトップとしている16ヵ国が全会一致で同意し、2013年に第1子を王位継承順位の1位とする王位継承法が制定された。エリザベス女王においては兄弟がいなかったため、女王が王位を継承した。
一方、スペイン皇太子フェリッペは、2004年5月22日、国営TVキャスター、離婚歴のあるレティシア・オルティスと結婚。二人の結婚式の数日前に、デンマークのフレデリック皇太子とオーストラリア出身の弁護士メアリー・ドナルドソンの結婚式があった。2005年6月2日、レティシアと共に結婚後初めて日本を訪問、皇居での晩餐会に出席した。2005年10月31日に長女レオノール(現アストゥリアス女公)が、レティシアが男子を出産してレオノール王女の王位継承順位が下がることになる前に、法律を変更することとなった。その後2006年にレティシアの女子(ソフィア王女)の懐妊が発表され、法改正の緊急性がなくなった。その後、スペイン王室は存在の意義を問われていた。フアン・カルロス元国王による愛人への支払い疑惑が発覚、さらに新国王の姉クリスティーナ元王女と夫であったイニャキ・ウルダンガリンが汚職事件「ノース事件」で告発されるなど、王室関係のスキャンダルが続いていたのだ。2014年6月、父王の退位に伴い、フェリッペが王位を継承。当時、スペイン王室は存在の意義を問われていた。フアン・カルロス元国王による愛人への支払い疑惑が発覚、さらに新国王の姉クリスティーナ元王女と夫であったイニャキ・ウルダンガリンが汚職事件「ノース事件」で告発されるなど、王室関係のスキャンダルが続いていたため、退位を求められていたのだ。法改正への手続きは未定だが、エリザベス英女王のようにレオノールが女王に着くことが予想されている。