フランスでは約20年前に、国全体のワーク・ライフ・バランスを向上させる目的で労働時間の短縮(週35時間制)を実施した。この策についてはいまだ多くの議論がある。
元々はキリスト教学校修士会(別名ラ・サール会)が木曜を休みに定め、代わりに土曜に授業を行っていたところを(現在は土曜日に授業を行う学校は少数)、1972年に当時の教育大臣が水曜にずらして公立の学校にも適用させたという歴史があります。その後、2008年にサルコジ政権は、学校の週4日制を採用。月曜日、火曜日、木曜日、金曜日の4日間、各6時間ということで、週24時間就学。2013年にオランド政権が採用したのは、週4日半制。月曜日、火曜日、木曜日、金曜日の4日間は各5時間15分、そして水曜日は3時間ということで、就学時間の合計は同じく24時間に。マクロン政権が提案したのは、2018年度から各自治体に選択をゆだねるという方針となった。
フランスでは、水曜日に公立の幼稚園や小・中学校が半日授業、私立においては1日休校になるため、週4日または4日半制になっています。半世紀近くにわたり、学校の水曜休み、または水曜半日休みが定着しました。特に子どもが小さいうちは子どもの休みに合わせ、水曜出勤をしない週4日勤務の社員が一定数いるフランス。全社員が出勤しない水曜には、重要な会議が組み込まれることもなく、社内には若干の余裕が生まれて、個々の仕事に集中できます。
フランスでは幼稚園〜高校1年生までが義務教育です。フランスでは、義務教育が始まる前の未就学児(日本でいう小学校入学前の児童)は、エコール・マテルネルと呼ばれる幼稚園で、幼児教育を受けるのが一般的です。小学校から大学まで授業料は無料です。
その後、6歳に入学してから10歳までの5年間は、エコール・プリメールと呼ばれる小学校で、初等教育を受けます。フランスでは、小学校で飛び級制度があったり、授業についていけないと留年することもあります。小学校卒業後は、11歳〜15歳までの4年間を、コレージュと呼ばれる中学校で中等教育を受けます。そして、中学校卒業後、16歳〜18歳までの3年間を、リセと呼ばれる高等学校に通います。
フランスだけでなく、ヨーロッパでは、学費は社会が税金で負担するのが当然であるという考え方が根付いています。大学は約2万円程度の学籍登録料などを負担するだけで通う事ができます。日本から見ると、数百万という4年間の学費やらを払って大学に通わせている親には大変うらやましい懐事情です。ある程度の収入がある家庭は、子どもを私立学校に通わせたいと思うようです。私立学校、インターナショナルスクールは有料です。
フランスには、フランスの公立大学に入学試験はなく、全国共通の大学入学資格を取得するためのバカロレアという試験があります。バカロレアの成績が入学の条件になる為、生徒達にとっては将来を決めるとても大事なテストです。リセ(Lysée)を卒業する時に受けるテストです。フランス全土で、6月に7日間もかけてテストをするのです!
フランスの学校は夕方4時〜6時に終わる為、放課後に遊ぶ時間がありません。また、放課後に校庭で遊んだり部活動をする日本とは違い、フランスの学校には、校庭がありません。体育館もない為、体育の授業は市営のスポーツ施設まで移動して行います。フランスでは体育や音楽、図工などは重要視されていないのです。習い事もあまり盛んではなく、帰宅後から就寝までの時間が短い為、宿題や夕食、お風呂などで、子ども達は忙しい毎日を過ごしています。
週の半ばにワンブレイク挟んだり、職場内がフル回転になっていないことで気持ちにメリハリがつき、自分の仕事を見直す、作業ペースを整える、などの余裕が持てる点は大きいと言えるでしょう。そして切り替えができたところで後半に向け、気合を入れ直し、仕事に邁進できるのです。OECD(経済協力開発機構)の最新調査によれば、2015年のフランスの生産性はG7(主要7か国)おいて第2位の高さ(日本は最下位)。水曜日休みと生産性は相関関係があるのかもしれません。
2022年06月02日
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