陛下は「大戦で多くの尊い命が失われた沖縄において、人々は『ぬちどぅたから』(命こそ宝)の思いを深められたと伺っていますが、その後も苦難の道を歩んできた沖縄の人々の歴史に思いを致しつつ、この式典に臨むことに深い感慨を覚えます」と述べ、戦争が終わった後の沖縄の置かれた厳しい状況について触れた。
その上で、具体的な内容を示さなかったものの、沖縄の現状には「課題」があると指摘。「若い世代を含め、広く国民の沖縄に対する理解が更に深まることを希望するとともに、今後とも、これまでの人々の思いと努力が確実に受け継がれ、豊かな未来が沖縄に築かれることを心から願っています」と期待をかけた。
天皇が沖縄復帰に関する式典でおことばを述べるのは、復帰式典(1972年)での昭和天皇、復帰20周年式典(92年)に出席された上皇さまに続き3回目だが、沖縄の現状の課題について言及するのは初めてとなる。
近現代史に詳しいノンフィクション作家の保阪正康さんは、陛下が指摘した「課題」とは「米軍基地問題などを指している」とみる。「沖縄には本土復帰から50年たってもなお解決されない課題が残っているという認識を示したことは、真摯に沖縄と向き合っていこうとする姿勢が感じられる」と強調する。ただ、「具体的に述べると政治的な発言と受け取られかねず、『課題』と表現するしかなかったのだろう」と話す。
出典:毎日新聞(5/15)
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