ルラ氏は第35代大統領(在任:2003年 - 2011年)で、10月の大統領選に向けた最新の世論調査で首位に立つ。現職のボルソナーロ大統領の35%に対し、ルラ氏は41%とリードしている。
出典:朝日新聞(5/6)
ルラ氏の経歴
ルラ氏は1945年生まれ、2002年10月27日、社会民主党の候補ジョゼ・セーハ(José Serra)を破って大統領に就任。投票率は61%、得票数は5240万票にも達し、ブラジル民主主義史上最大の得票数であった。宣誓式において、ルーラは涙ぐみながら次のように宣言した。
E eu, que durante tantas vezes fui acusado de não ter um diploma superior, ganho o meu primeiro diploma, o diploma de presidente da República do meu país.
(訳:大学の学位がないと何度も非難されてきたこの私が、生まれて初めて免状を手にします。それがわが国の大統領という任命証書です。)
これまで、ルラ氏へは幾多の学歴への指摘がされてきたが、そうした攻撃に応える形となった。労働者党の支持者たちは彼の明晰な知性を引き合いに出し、かような非難を重く捉えることはなかった。氏は19歳の時、プレス工として勤務していた自動車工場で起きた事故で、指を失う。その頃から彼は労働組合に加入し、重要な役職に就くこととなる。当時のブラジルは軍事独裁政権下にあり労働組合を強力に抑圧した反動から、ルーラの政治観は大きく左傾化することとなった。1984年、労働者党およびルーラは民衆キャンペーン"Diretas Já"(ジレータス・ジャー)に参加した。このキャンペーンは、次期大統領選挙における直接投票を要求するという趣旨のものであった。このキャンペーンの直接の結果として、民衆たちによる何年もの戦いの後、ついに1989年にいたって29年ぶりの直接選挙による大統領選挙が実現したのである。ルーラはこの大統領選挙に労働者党の候補として出馬したが、決選投票で僅差で敗北した。
2006年の大統領選挙では、所属する労働党のスキャンダルが相次いだことで1回目の投票で過半数が得られず、決選投票にもつれ込んだが、10月29日に行われた決選投票では、60%以上の得票率を獲得して大統領再選を果たす。
憲法規定により三選は禁止されているため、大統領二期目も高い支持率を維持したが、ルラは2011年1月1日の任期満了をもって退任した。退任時の支持率は90%近くであった[1]。後継の大統領候補には官房長官を務めたジルマ・ルセフ(ジウマ・ルセッフィと発音)を指名し[2]、好調な経済を背景にルセフが後任の大統領に当選した。
他方、5月9日に投開票が行われたフィリピン大統領選挙で、フェルディナンド・マルコス・ジュニア(64)が勝利を確実にした。「ボンボン」の愛称で呼ばれるマルコス・ジュニアは、汚職にまみれた独裁者として悪名高いマルコス元大統領の息子だ。政治家であるための学歴詐称では、英億スフォード大学卒業と語っていたが、当大学側から拒否された。
父親のマルコスが1972年に戒厳令を布告した後、何千人ものフィリピン人が殺害されたり行方不明になったほか、多くの人が拷問を受けるなど人権侵害に苦しんだ。その一方でマルコス一族は、フィリピン政府の推定によると50億〜100億ドルの公金を横領したとされる。母親であるイメルダ夫人の散財を象徴する靴コレクションが有名だが、国家資産が奪われるなかフィリピン経済は縮小していった。一族が横領した公金のうち、2020年時点で国庫に戻された額はわずか30億ドルだ。
マルコス家はドゥテルテなど名のある政治家と同盟を築くことで復権の階段を上っていった。副大統領選で勝利したサラ・ドゥテルテは現大統領ロドリゴ・ドゥテルテの娘と選挙戦のタッグを組んでいた。国民の間にドゥテルテには根強い人気が続いており、それを利用していたのだ。この後にマルコス・ジュニアが大統領となれば、かつてマルコス一族が働いた不正の責任を問うことが難しくなるとの懸念も広がっている。独裁者と呼ばれたマルコス元大統領の遺体を国の英雄墓地に埋葬することを認めたのもドゥテルテだ。ジュニアの選挙期間中のSNS投稿では、公然とマルコス独裁政権は「黄金時代」として、歴史認識を書き換え、広く拡散されたが、ジュニアはそうした投稿は支持者が勝手にやったものだとして、関与を否定している。対中国については、南シナ海の領有権問題の解決へ向けて中国と交渉する計画だと述べている。中国政府のご機嫌をとりながらインフラ援助を引き出したドゥテルテ政権の外交とたいして変わらない。
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