ミシェル氏は、マイア・サンドゥ大統領との共同会見で「今年は軍装備品の追加供与など、モルドバへの支援を大幅に増やすことを計画している」と述べた。さらにミシェル氏は、EUが「物流やサイバースペースの分野」でも支援を拡大するほか、軍事力の増強につながる援助を行っていくことにも言及した。同氏は、モルドバが「ロシアによるウクライナ侵攻の飛び火」に対応できるよう、EUが支援していくと強調した。
サンドゥ氏はこの会見で、モルドバは「悲観的な想定」に沿って備えを進めているものの、「現時点では差し迫った危険があるとはみていない」と語った。また、東部の親ロシア派支配地域トランスニストリアでは先週、親ロ派の当局関係の建物やラジオ塔などで爆発があったほか、ロシア軍が駐留している地区への発砲が起きたとの主張もあった。爆発が相次いでいることについては、「戦争を望む勢力」が背後にいるとの見方を示し、こうした動きの阻止に努めていくと述べた。
ロシア政府はこれを「テロ行為」だと非難した。
出典:AFP時事5月4日
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マイア・サンドゥ氏はモルドバ初の女性大統領で、NIS諸国では4人目、東ヨーロッパにおいては5人目の女性大統領となった存在でもある。2016年、彼女は、20年振りとなる直接選挙による大統領選にて親ヨーロッパ政党「尊厳と真実の基盤党」(PPDA)とPASの共同候補に選ばれた。しかし、その際の選挙戦で当人は親露派のPSRM候補イゴル・ドドンに48%対52%の差で敗れ去った。
だが、サンドゥは4年後の2020年10月2日に公式に選挙運動を開始し、ルーマニア語とロシア語で2回の演説を行って、汚職、貧困との戦い、刑事司法制度の改革を約束する一方、ドドン大統領が後者を意図的に妨害していると非難した。1度目の投票で過半数を獲得した候補者がいなかったため、11月15日にサンドゥとドドンの決選投票が行われ、総投票数の57.75%対42%と大幅の差をつけて勝利し、雪辱を果たすことになった。
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