サチン・チョードリー『「運がいい人」になるための小さな習慣』(アスコム)では、そうした運の良い人になる仕組みが解説されていた。
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人は、「ちょっとだけ」なら変わることができます。その「ちょっとだけ」の積み重ねが、やがては自分を大きく変え、成功へ導いてくれるのではないか。そんな視点から成功者たちを眺めてみると、いくつかの共通するパターンが見つかりました。
まず、彼らは常に「可能思考」で考えます。どんな状況でも必ず「どうすればできるのか」を考え、物事を動かしていきます。
次に、彼らは「コンフォートゾーン」を嫌います。自分の慣れ親しんだスタイルを繰り返すよりも、新しいことに挑戦することを優先します。
また、彼らが何よりも重視するのは行動です。PDCAのうち、優先するのは D (Do = 実行)とC(Check = 評価)。まず行動し、走りながら考えるのです。
彼らの思考と行動を自分のものにしたいと考えた私にヒントをくれたのが、ヒンズー教の格言でした。
「心が変われば態度が変わる。態度が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。運命が変われば人生が変わる」
このなかで、私が注目したのは「習慣」です。習慣とは、思考や行動をルール化することです。
成功者の思考や行動を「習慣=ルール」として日常生活のなかに落とし込めば、 心や態度が変わり、運の流れが変わり、人生が変わっていくのではないか。
「私は、徹底的に成功者たちの思考と行動のパターンを観察し、洗い出し、習慣 としてリスト化していきました。
そして、そのリストを眺めたとき、愕然としたことを覚えています。
なぜなら、それはじつに簡単で、誰にでも、それこそ1分でできることばかり だったからです。
たとえば、彼らは常にポジティブな言葉を口にします。試しにあなたも「自分は運がいい」と言ってみてください。
大切なのは声に出すこと、そして何度か繰り返してみることです。たったこれだけで、少し心が軽くなり、気持ちが前向きになりませんか?
ポジティブな発言は、セルフエフィカシー (自己効力感)を高めてくれます。
それにより人は前を向き、チャレンジングな気持ちをつくることができます。
また、ポジティブな人のまわりには、自然と多くの人が集まってくるものです。
そして、人が集まれば自ずとチャンスに恵まれます。
こうした小さな習慣を少し続けたところ、果たして効果はてきめん。
面白いことに、必要なときに、必要なタイミングで協力者が現れたり、追い風となる出来事が起きたりするようになったのです。
そう、運の流れは完全に変わりました。
また、同時に私が意識したのが古くからインドに伝わる「ジュガール」です。
ジュガールとは、簡単に言えば、目の前の困難を解決するための思考法のようなものです。
日本でこそあまり知られていませんが、世界14カ国で発行されるグローバル・マネジメント誌『ハーバード・ビジネス・レビュー』でも2011年 に取り上げられ話題になるなど、以前から世界の経営者に注目されています。
ジュガールはインド人の心の底流を流れるものであり、日本の「禅」を一言で説明することができないように、ジュガールもまた一言では説明できません。ただ私なりに解釈するのであれば、次の7つに集約されるでしょう。
◆少ない力で多くの利益を得る
◆自分の枠を越えた発想で考え、行動する
◆ やわらか頭で考えてピンチをチャンスにする ・シンプルに考える
◆決してあきらめない
◆自分を抑えつけない
◆セルフエフィカシー(自己効力感)を大事に育てる
「可能思考」の反対は「不可能思考」。新しいことをやろうとした時、多くの人は、不可能思考に陥ってしまう。
「どうしたらできるだろうか」「他に方法はないだろうか」とできる方法を考えるのが「可能思考」。
また、「あえて、なぜ危険をおかさなければいけないのか」と安全を求め、現状維持を求める。
しかし、人はある程度のストレス環境に置かれたほうが、能力を発揮するとサチン氏はいう。
居心地のいい環境では、人は成長できないからだ。
新しいことにチャレンジ、そして、「自分は運がいい」と声に出して、1日に5回言おうという。
ポジティブな発言をすることで、人は前向きになる。
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