会合の資料や沖縄県などによると、同県ではI/3日以降、オミクロン株への置き換わりで感染が急拡大した。6日には新規感染者が981人となり、過去最多だった昨年8月25日の809人を更新。その後も増え続けた。
人口10万人当たりの新規感染者数は、13日までの1週間で約654人まで増えた後、600人台で推移。18日までの1週間で約679人に達し、そこをピークに一転して下がり始めた。25日までの1週間は約547人で前週から0・8倍となり、全国で唯一、減少傾向がみられた。
専門家は、飲食店の時短営業や成人式の中止などの対策強化が奏功したとみる。
ただ、軽い症状の感染者が検査を受けていないケースや、行政検査の逼迫(ひっぱく)で感染者の報告が遅れている可能性もある。「ピークアウトかどうか、まだ分からない」。沖縄県の担当者は慎重に話す。
「早ければ、この2週間前後でピークが到来する可能性がある」。政府に対策を助言する専門家の尾身茂氏ら有志が21日に公表した提言では、2月上旬にもオミクロン株による「第6波」がピークを迎える可能性を示唆していた。
念頭にあるのは、オミクロン株の特性だ。オミクロン株は感染が他の人にうつるまでの日数を示す「世代時間」が約2日で、第5波をもたらしたデルタ株の約5日よりも半分以下とされる。専門家の一人は「世代時間が短いと流行ピークは早く来るが、感染者が減る際もスピードが速く、流行期間は短くなる」とみる。
実際、世界で初めてオミクロン株を世界保健機関(WHO)に報告した南アフリカでは、感染者の確認から1カ月弱でピークを越え、流行は収束に向かった。英国でも、昨年11月下旬の1例目発表から1カ月余りで峠を越えている。
もっとも、感染拡大のスピードは鈍ったが、国内では感染増加が続く。尾身氏は28日の衆院予算委員会で「この1〜2週間でピークアウトするかどうか予断を許さない」と強調した。
新たな懸念材料となるのが、別系統のオミクロン株だ。国内で広がった主流系統「BA・1」に対し、変異箇所の異なる「BA・2」と呼ばれるウイルスで、感染力は18%高いという分析もある。国内では少なくとも27例が見つかった。
「名前は同じだが、免疫機能に影響しそうなアミノ酸の配列が大きく異なる。BA・2に置き換われば、第7波を引き起こす可能性もある」。京都大の橋口隆生教授(ウイルス学)は警告する。
デンマークやイスラエルでは「BA・1」から「BA・2」に置き換わり、収束傾向だった感染が再拡大したことが報告されている。
橋口教授は「別系統でも基本的な感染対策は同じ。マスク着用や3密の回避を徹底してほしい」と語った。
出典:西日本新聞(1/29)
2022年01月31日
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