新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、「まん延防止等重点措置」が1月21日から、東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏4都県や愛知、岐阜、三重の東海3県など13都県で適用される。1月9日から適用されている沖縄、山口、広島の3県を含め、対象地域は1月21日時点で16都県で2月13日までとなる。
各国の経過からピークは1月下旬〜2月ではないかと、医師・医療経済ジャーナリストの森田 洋之氏は、下記のような意見を述べられていた。
通しをされる。
オミクロン感染は感染者は急速に広がるが、弱毒化により重症・死者数は減る。これまでに見えていなかった幽霊病床など、医療側の盲点が暴かれて、そもそもが尾身会長が理事長を務める病院(JCHO)ですら、その確保病床の半分近くしか使っていなかった。132億円の補助金の不正請求だと「AWRA」誌上でスクープされた。これは尾身さんの病院だけの話ではないだろう。日本は、欧米の5倍にもなる約160万床の病床があるが、2年たってもコロナ対応のために確保しているのはそのうち2・5%の約4万床にとどまっている。欧州では医療は、警察や消防と同じように公的な存在だが、日本は約8割の医療機関を民間が運営しており、自由競争に任せていることが原因の一つだ。
コロナ禍がなければ、医療業界で見過ごされてきたカラクリを国民は知ることがなかっただろう。来たるべき第6波でもおそらくは医療体制はそのままにされているのでは問題だろう。しかし、現況も、第5波からほとんど変わっていないと指摘する。尾身氏をはじめ、感染症の専門家は感染を抑えることが仕事なので、感染者を一人でも少なくとの主張は当然のことだが、しかし、そればかりにしていたら、「感染はおさまったけど社会的な健康は壊れた」ということになりかねない。
この2年間のコロナ対策で、経済は落ち込み、学校は休校・リモートになり、高齢者は施設に閉じ込められた。その結果、2020年の自殺数は激増し、子供の自殺は過去最高となった。健康とは体の話だけでなく、心の健康も、社会的な健康(絆を紡ぐことで生まれる良好な人間関係・コミュニティー)も含まれる
そもそも、新型コロナの他にも感染症はたくさんある。肺炎による死者数は毎年10万人、多いときで12万人。インフルエンザは毎年1000万人がかかって、多いときは1万人が亡くなると言われている。新型コロナの死亡はこの2年で1万8000人。
オミクロン株は「弱毒化」が予想されている。今、どこまでが社会全体の「最適解」なのか? を真剣に議論すべき時なのではないだろうか。
出典HP:https://agora-web.jp/archives/2054558.html
医師・元厚労省医系技官の木村 盛世氏は、筑波大学医学群卒業。米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院疫学部修士課程修了。優れた研究者に贈られる、ジョンズ・ホプキンス大学デルタオメガスカラーシップを受賞する。内科医として勤務後、公衆衛生の道へ。米国CDC(疾病予防管理センター)多施設研究プロジェクトコーディネイターを経て帰国。厚労省統計情報部ICD室長などを経て退職し、杜撰な厚生行政の実態を告発し、オンラインでも取材をうけて、次のように指摘している。
コロナ禍によって改めてわかったことは、日本の医療機関の多くが“薄利多売”で儲けていたということでした。元夕張市立診療所所長の森田洋之医師(現在は鹿児島県南九州市の「ひらやまのクリニック」院長)から聞いた話では、夕張で大きな病院が倒産した際に、病床数が19の小さな医療施設しか残っていなかったのですが、それでも夕張市における死亡者数は変わらなかったということでした。
これはつまり、大病院に入院していたのと、医者に行けずに自宅療養していても、死亡する確率に大差がなかったということです。新型コロナが流行する以前、病院の待合室が高齢者のたまり場のようになっていたのは、こうした医療機関の姿勢があったためでした。患者のためという以前に、医療機関のためにそれらが行われていると言っても、あながち間違いではないのかもしれません。
別の見方をすると今の病院は「来ても来なくても寿命に影響しない人たちを呼び込むことによって利益をあげてきた」ということでもあります。健康診断やインフルエンザなど各種のワクチン接種、重症ではない程度の高血圧や糖尿病患者への薬の処方……。本来こういったケースでは、医療が必要ないのだとも言えます。医師は「とりあえず検査をしましょう」という姿勢で、腰が痛ければMRI、頭が痛ければ脳のCTを勧め、まずは検査を優先させます。
■コロナ禍を機にやる気のない医師は淘汰されるべきだ
新型コロナかそうでないかにかかわらず、不必要な診療をやめ、必要な診療を行うやる気のある医師たちが生き残るべきなのです。
医師法17条で「医業」とは「医師しか行えない」との特権を国から与えられているのです。それが19条で「正当な理由なく患者を診ないことがあってはならない」とされているにもかかわらず私利私欲に走るのは、医師として許されることではありません。コロナ患者を率先して診た勇気をもった医療機関が存続し、それ以外は淘汰されるきっかけを新型コロナは与えてくれたのかもしれません。
■「医療崩壊」は国民の努力が足りないせいなのか
緊急事態宣言とそれに伴う外出自粛も医療崩壊を防ぐために行われてきたことです。だから医療の側としては国民が我慢をしている間に、新型コロナのための病床確保や医療体制を整える時間は十分にあったはずです。
2020年11月、分科会会長の尾身茂氏が「個人努力だけに頼るステージは過ぎた」と語ったのも、これはつまり、分科会も政府も医師会も2020年11月まで感染拡大防止を「国民一人ひとりの個人の努力」に頼り、病床確保などの手を打ってこなかったということです。そして、国民の努力が足りないから感染者が広がり、医療崩壊が起きると尾身氏は言っているのです。ここまで言われてなぜ、国民のみなさんは変だと思わないのでしょうか。そのような医療体勢の下で、もしも日本の感染者数が欧米並みであったなら、とんでもなく悲惨なことになっていたでしょう。 イギリスでは感染のピーク時に、ICUの98%をコロナ用に使用していました。日本の医療環境において、海外ができたことができなかったのは本当に残念です。幸いなことに日本ではICUを火急に増やす必要がないくらいに感染者、重症者、死者数が少なかったために危機を免れることができたというだけのことです。
医療逼迫や医療崩壊と言いながら、懸命にがんばっていた病院はごく一部しかありませんでした。国内の約160万床のうちのほんのわずかの病床でコロナに立ち向かい、それでも辛うじて医療が回っていたということは、逆にいうと日本には“いらない医師”が多すぎるということにもなるでしょう。
私は第一波の頃から、「医療体制を整え、新型コロナに感染したときに安心して医療を受けられる体制をつくらなくてはならない」と発言してきました。するとあちこちの医療関係者たちからは「新型コロナの感染者が安心して病院にかかるなんてとんでもない。何をふざけたことを言っているんだ」と怒られました。
出典:プレジデント・オンライン(1/26)
2022年01月27日
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