ニューヨーク州は去年12月以降、感染者が激増して先月31日に過去最多となった後は、6日連続で新規感染最多を下回ってきた。今月6日の新規感染者数は8万2094人。
感染制御学が専門の東邦大学感染制御学・小林寅てつ教授は、NYの状況について「ある程度、感染者が増えますと、感染に対して非常に警戒して感染対策を強く取る人と、今までにかかってしまった人とある程度分けることができるので、この状態で、減少傾向が続けば、ピークアウトに向かう可能性がでてきたが、もうしばらくグラフを見守る必要がある」と、オミクロン株が猛威を振るっていたアメリカ・NY州では、変化の兆しが見えてきたと説明した。
ニューヨーク州・ホークル知事:「現在の傾向として感染者の増加にはちょっとしたピークが見て取れます。以前のように一気に増減する感じではありません。これについては、慎重になりつつも楽観的でいようと思います。増加が落ち着きつつあるが(現段階では)正式にピークを迎えたとは言いません。ただ、これまでよりも良い傾向のグラフになっています」
そんな中、NY市では去年9月から、学校の閉鎖基準が緩和されて原則、対面授業が行われています。市では学校の生徒の感染がおよそ1万1000人を数え、6日から16歳以上だった追加接種の対象が、12歳以上に引き下げられていた。
出典:テレ朝news 2022/01/08
米国では未成年者は特にワクチン接種率が低いこと、優勢になった変異株の「オミクロン株」の感染力が非常に強いことから新型コロナウイルス感染症で入院する子どもが急増、過去最多を更新し続けている。米疾病対策センター(CDC)によると、1月2日までの1週間には、前週の2倍以上にあたる1日あたり平均672人の子どもがCovid-19で入院。米国小児科学会によれば、国内の未成年の感染者数も最多を更新しており、12月30日までの1週間に確認された人数は、前週から64%増加していた。
専門家らは、初期の調査結果から、オミクロン株は重症化リスクがその他の変異株より低いとみられていた。そのなかで、子どもの入院者数の増加は、オミクロン株の感染が急増していることに伴うものとみている。CDCが原因として挙げているのは、オミクロン株は感染力がより強いこと(デルタ株のおよそ3倍とされる)、過去の感染やワクチン接種によって得た免疫をより効率的に回避することなどだ。
科学ジャーナル、ネイチャーによると、これまでに発表された複数の研究結果では、オミクロン株はその他の変異株と比べ、肺ではなく上気道(鼻から喉)で増殖しやすいことが示されている。こうした変化は、子どもたちにとっては重症化の危険性が高まったことを意味する可能性がある。子どもたちは成人と比べ、上気道の疾患によって合併症を起こす危険性がかなり高いためだ。他方、オミクロン株の感染力が非常に強いが、成人に重症化しにくいのは、おそらくこのためだという。
よって、ワクチン未接種の人の割合が最も高い未成年子どもたちは、新型コロナウイルスにより感染しやすい状況に置かれるようになったといえる。接種可能な年齢の子どもたちでも接種率はその他の年齢層より低く、5歳未満は接種を受けることができない。
米ジョンズ・ホプキンス大学の健康安全保障センターのシニアスカラー、アメシュ・アダルジャ医師はフォーブスの取材に対し、「国内で最もワクチン接種率が低いグループ」である子供たちの間で「感染者数、入院者数が増えるのは、驚くべきことではない」と述べている。アダルジャ医師は、「ワクチンを接種した成人を増やすことは、未接種の子どもたちにとっての脅威を小さくすること」であり、「より多くの子どもが接種を受けることは、このウイルスの脅威にさらされる子どもを減らすことだ」という。
オミクロン株、そして子どもがこの変異株に感染した場合に受ける影響については、まだ明らかになっていないことが多い。だが、新型コロナウイルスのその他の変異株にはない特徴のために、オミクロン株は感染した子どもたちに、合併症を引き起こしやすくなったと考えられている。これまでは、新型コロナウイルス感染症は、子どもが重症化する危険性が低い病気だとされてきた。だが、このウイルスへの感染によって別の病気を発症し、命が脅かされる危険はある。
いまのところ世論調査の結果は、自分の子どもに接種を受けさせることを「望まない、または決めかねている」という親が多いことを示している。そして、この新しい変異株のオミクロン株も、こうした親たちの考えを変えることには繋がっていないとみられている。
出典:Forbes Japan (1/8)
2022年01月09日
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