国と国を比較することは簡単ではないことを示しています。さまざまな要因、多くは非常に微妙な違いながら、感染や死亡者数に影響します。元々の人々の健康度、保健医療システム、特に医師と集中治療室の数、予防接種を受けた人の数と予防接種の時期、人と人との距離といった文化の違い、集団主義または個人主義の強さなどの他、過去のコロナウイルスの感染による集団免疫や元々の免疫力など、まだよく分かっていない要因もあります。これらはすべて重要で、パラメーターがわずかに変わることで結果が大きく異なる可能性があります。
一方、国同士が互いから学ぶことができます。すぐれた日本の予防医学のシステムや健康的でバランスの取れた食生活、高齢になっても活動的であることは、来る感染爆発を抑制するのに役立ちます。一方で危機に適切に対応するためには、オーストリアのように、十分な医師数と看護スタッフを備えたよく開発された効率的な医療システムが必要です。医療制度の節約はあまり賢明ではないかもしれません。
島国である日本は国境を厳しく管理することができましたが、欧州では比較的自由に移動することができました。夏に海でバカンスを過ごせないことに、多くの人は耐えられません。外国人労働者は、家族に会いに行くため自国に戻ることができました。ウィーンでは、住民のほぼ半数が海外生まれで、国全体では約23%が外国出身です。人々は母国との間を絶えず移動しています。
感染者が減った今夏は、外国人観光客も大勢訪れました。移動する人全員が「グリーンパス」を持っていなければなりませんが、国境で毎回チェックを受けるわけではありません。旅行の自由はEUの基本原則の一つであり、渡航禁止令は人権の制限と見なされます。したがって、EU諸国が感染拡大を制御することは非常に困難でした。
ロックダウンが繰り返されるたび、命令はますます受け入れられなくなりました。日本とは対照的に、人々は期間が終わるとすぐに感染対策を取らなくなり、休暇で出掛け、お祭りを祝い、多くの人がマスクもしなくなりました。再び感染数が増えた原因となっています。
日本は人々の協力で感染拡大を抑えることができました。日本の文化的要因、人と人との距離を保つことや「お上」の指示に従うことなどが良い結果をもたらしたと考えられます。もちろん、国境の閉鎖と厳格な検疫措置も意味を持ちました。日本では今年8月、それほど多くない重症患者でも医療を圧迫しました。ここ数十年の医療機関の民営化による医療システムの節約、それに病院間の協力の欠如が、医療体制の危機的な圧迫につながったと言えるでしょう。
オーストリアでは、予防接種は20年12月末に始まりました。2回目のワクチン接種後の免疫は数カ月後に低下していることが判明しました。デルタ株によって引き起こされた現在の第4波では、すでに2回接種を受けた人々でも多くのブレークスルー感染があることがわかっています。
そのため、3回目接種はすでに全ての人に対して始まっています。ワクチン接種率は日本で79%、オーストリアではつい2週間前まで65%でしたが、ロックダウン最初はワクチン未接種者のみが対象だったこともあり、この2週間で70%に上昇しました。また、現在のロックダウンにより3回目接種も進み、26%の人が受けました。
出典:河北新報社(12/9)
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