ここに私たちが向き合っている大きなジレンマがあります。パワーがもたらす功罪のうち「功」を最大限に引き出しながら「罪」を抑え込むためにはどうすればいいのでしょうか? 答えは1つしかありません。「伝統」と「権限」に根差すパワーが弱体化していくのが歴史の必然なのだとすれば、私たちは、何か大きな成果を成し遂げるためのパワーの源を「共感」に求めるしかないのです。自分のビジョンを語り、それに共感する人々が出てくることでそこにリーダーシップとフォロワーシップが民主的に生み出される。その関係性が生み出すパワーが、これからの世界を変えていくための大きな原動力になっていくでしょう。
私たちはよく「自分には権限がないので……」という理由で思っていることを言おうとしない、やろうとしない人に出会います。今日、自分の判断で動き出さない人は、明日、パワーを手に入れたとしてもやはり動き出さないでしょう。考え方が全く逆なのです。「パワーがないからリーダーシップを発揮できない」のではなく「リーダーシップを発揮しないからパワーという現象が発現しない」のです。
リーダーシップは本来、パワーによって生まれるものではありません。それは問題意識とビジョンを打ち出すことで喚起される「他者の共感」によって生まれるものです。過去の歴史において偉大なリーダーシップを発揮した人々を見れば、男性ばかりですが、例えば、ナポレオン、豊臣秀吉、前田利家、吉田松陰、坂本竜馬、北斎ら、よくよく見ると、打ちかざした手の先ばかりでなく、その陰にいた女性が周囲の共感を得る力量があったと知られています。ジョセフィーヌ、寧々、まつ、松陰の姉、お龍、娘・おえい、彼女らの働きは驚くばかり。
そんな時、女性知事経験者がシンポジウムを開き、「立候補する事を躊躇わない、女性が社会を考えることが時代をよりよくしていく、自身を持って立候補してくださいしてくださいと訴えた。
https://www.msn.com/ja-jp/video/news/%e7%9f%a5%e4%ba%8b%e7%b5%8c%e9%a8%93%e8%80%85%e3%82%89-%e5%a5%b3%e6%80%a7%e6%94%bf%e6%b2%bb%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%80%e3%83%bc%e9%87%8d%e8%a6%81%e6%80%a7%e8%a8%b4%e3%81%88/vi-AAO68Eh?ocid=msedgntp
社会や組織の中で合法的に、あるいは世襲的にパワーを与えられた男性ばかりではなく時代を変えた、そのわきにいた女性が共感力に長けていた。そしてためらわず、自らの問題意識に基づいて新たな世界に向けて耳を澄まし、目をこらし、行動したのです。その行為にインスピレーションを受けた多くの人々が、これらの人を歴史上稀に見るリーダーにトランスフォームしたのです。男性の意識だけでなく、女性の感覚までも取り入れる許容があったから、彼らはただならぬ力を見せられたのではないか。
「パワーの過去・現在・未来」という本稿の主題についてまとめれば、ヴェーバーの指摘したパワーのうち「前例」や「権限」に基づくパワーは今後、弱体化の流れを辿ることになるでしょう。これからの社会において、このような既存パワーに依拠することは非効率であるばかりか、危険ですらあると言えます。
これからは「共感」に基づくパワーこそ、社会に残存する大きな問題を解決する際に求められるパワーを生み出すうえで、唯一の源になっていくと思われます。つまり、男性にもたらされた権限を女性に移譲していく社会になれれば、女性の社会進出国際比較でボトムに近い日本なのですから、再浮上が期待できるということです。そこには、男性が女性の陰でプッシュすることがあって、しかるべきです。
出典:ダイヤモンドオンライン9/5(ハーバード・ビジネス・レビューEIシリーズ『リーダーの持つ力』の日本版オリジナル解説からの抜粋)
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