PCR検査で陽性が判明した場合は、医師の電話による問診を経て、県のコロナ対策本部が入院・療養先の調整をする。
症状が重く高齢や持病、肥満などの重症化リスクを抱える場合は、かかりつけ医に相談するか、県内でコロナ診療をしている医療機関を受診。その後の検査で陽性が分かれば、県が入院・療養先を調整する。
県によると、抗原検査キットは薬局やインターネットなどで3千円程度で購入できる。さらにPCR検査を受ける場合は、県の補助を受けても2千〜5千円程度かかる。自己負担はある程度必要になるが、県の糸数公医療技監は「医療機関の混雑解消のため協力してほしい」と求めた。
また、国立感染症研究所は今年5月、ファイザー製のワクチンを打った医療従事者の経過を追った結果、「新たな感染の報告率は、1回目の接種から12日前後を境に下がる傾向がみられた」と発表した。海外の複数の研究でも、ワクチンの効果が表れるのは1回目接種から12日目以降だとされている。
クリックで拡大
出典:沖縄タイムス(8/30)新型コロナウイルスに感染していると診断され、39度近い高熱が5日以上続いていたり酸素飽和度が95%を下回っているような患者が入院の対象となっている。入院患者にはまず採血検査やCT検査を実施し、肺結核やB型・C型肝炎がないことを確認してから、薬物治療が行われる。
「新型コロナウイルス感染症は発症してから10日ほどで体内に抗体がつくられ回復していきます。ですから、抗体ができるまで重症化を防ぐことが治療の基本になります。重症化につながるサイトカインの暴走をコントロールしながら炎症を抑えるため、『トシリズマブ(一般名)』を投与します。炎症性サイトカインの一種であるIL―6の作用を阻害して炎症を抑える薬で、高熱がある患者さんでも、投与から2〜3時間で症状が消えて寛解するケースが少なくありません」
さらに、下肺野(肺の下部)に炎症が認められ、低酸素血症を来している患者には、抗ウイルス薬の「レムデシビル」が同時に使われる。
「現在、入院が必要だと判断される患者さんはほとんどがレムデシビルが適用になる状態で、その場合はさらにリウマチ治療薬の『バリシチニブ(一般名)』も併用します。こちらは、トシリズマブとは作用機序が異なるJAK阻害薬と呼ばれる薬で、過剰な免疫反応を抑制する働きがあります。海外ではバリシチニブの使用によって新型コロナウイルス感染症の死亡者が35%減少したという報告があります」
入院が必要な新型コロナ患者には、トシリズマブ、レムデシビル、バリシチニブが投与され、さらに血栓の形成によって起こる合併症を予防するため血液をサラサラにする抗凝固療薬も使われている。
「こうした薬物療法を基本的に5日間継続し、抗原定量検査でウイルス量が50(ピコグラム/ミリリットル)程度に減った段階で、ステロイド薬の『デカドロン』(デキサメタゾン)を投与します。免疫反応や炎症を抑制するためです。ステロイド薬については、重症化を抑えて死亡率を下げることが報告されていて、以前は治療の初期から使われていました。しかし、体内のウイルス量が多い初期にステロイド薬を投与するとウイルスが減るスピードが落ちてしまうことがわかっています。そのため、ウイルス量がある程度まで少なくなった段階で使う必要があるのです」
厚労省では「発症から10日経過かつ症状軽快から72時間経過」を新型コロナ患者の退院基準にしている。発症から10日で抗体がつくられて発熱などの症状が治まっていくことがわかってきたためだ。
「しかし、初期にステロイド薬を使うとコロナウイルスが検出されなくなるまで15〜20日ほどかかってしまって、なかなか退院できなかったり転院を余儀なくされたりで、自宅療養に切り替えられないケースが少なくありません。一方、ウイルス量が少なくなった段階でステロイド薬を投与すると、入院中は人工呼吸器が必要だった患者さんを含めてほぼ全員が発症から10日で寛解し、目立った後遺症なしに自宅へ退院されています」
新型コロナの臨床現場では、有効な治療法がどんどん進化しているのだ。
出典:日刊ゲンダイ(7/10)