mRNAワクチンは、新型コロナで初めて人類が接種したワクチンのタイプなので、副反応のメカニズムがはっきりしていない。カリコ氏と米ペンシルベニア大教授のドリュー・ワイスマン氏らが遺伝物質のmRNAを人工的に作って医薬品として利用することを目指し、1998年に共同研究を開始した。mRNAが過剰な炎症反応を起こすのを防ぐ仕組みを発見し、新型コロナウイルスワクチンの実現に供した。
新潟大学名誉教授の岡田正彦氏は「あくまで仮説ですが」と断ったうえで、「ファイザー製とモデルナ製のワクチンは、遺伝子の設計図を体内に打ち込む『mRNAワクチン』です。そのワクチンを接種すると細胞内にウイルスのスパイクたんぱく質が形成され、それが体内の免疫反応を引き起こします。従来は安全だと考えられていたスパイクたんぱく質が血小板の細胞表面にある『糖鎖』と呼ばれる突起を切断してしまい、その免疫細胞が血小板を『異物』とみなして攻撃してしまう。それによって血小板が減少するというメカニズムが考えられます」と死亡例についての見解を語る。
また、一方で抗体獲得の効果について、「ワクチン接種のほとんどが、感染後に抗体を一番獲得した例を、はるかに凌ぐ量の抗体を獲得しています。また抗体の量が多いだけではなく、中和抗体の働きによる感染抑制効果も、ワクチン接種のほうが高いという結果でした。ちなみに一番多く抗体を獲得したのは若い女性です。他にもワクチン接種後に発熱や倦怠感、筋肉痛など全身に副反応があったほうが、ほとんどみられないか、局所だった場合と比べ、より多くの中和抗体を獲得していることがわかりました」(富山大学学術研究部医学系微生物学講座の森永芳智教授)
警戒中のイギリス型と南アフリカ型の変異株に対するワクチン接種後の中和抗体の検査結果は従来型よりは多少落ちるものの、感染抑止力があることも判明。ただ獲得した中和抗体が、いつまで有効なのかなどはまだ不明で、今後の検査結果に期待がかかる。
日本のコロナ専門病院からの報告ではデルタ株に感染した有症者にPCR検査をすると、ウイルス量を測るCt値(※)はいままでになかった一ケタ台のことがあるといいます。従来株などであれば通常、Ct値は大体10以上で検出されています。Ct値はウイルス量と逆相関し、1下がるごとにウイルスが倍に増えます。例えば従来株がCt値12で検出、ラムダ株がCt値8で検出されたとすると、ラムダ株も従来株のおよそ16倍のウイルス量ということになります」
【※Ct値/PCR検査の際の「ウイルスの増幅回数」のこと。ウイルスはごく少ない量なので増幅させないと検出できない。Ct値が1つ下がると、検体中のウイルスは2倍、4倍、8倍と乗数的に増幅する。つまり、検出時のCt値が少ないほどウイルス量が多いといえる】
ウイルスが排出される量が増えると感染力も高まる。
「ラムダ株はこれまでのウイルスの10倍以上の排出であることが多いと考えられます。理論的には、これまで15分対面でしゃべると感染していた場合、ラムダ株なら1分30秒で感染する可能性となります。少なくとも従来株より感染力が数倍強いと考えていい」(中村さん)
切り札とされるワクチンも、ラムダ株には効かない可能性がある。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんの指摘。
「ラムダ株のウイルスには、スパイクたんぱく質(ヒト細胞表面にある受容体と結合する物質)に『F490S』という変異があります。その変異が起こると体内にある抗体は侵入してきたウイルスを認識できず、攻撃しない可能性がある。つまりワクチンが効きにくくなるということです」
実際、世界保健機関(WHO)はラムダ株について、「感染力が高く、抗体に対する抵抗力がある可能性がある」と指摘した。
「現時点でラムダ株は感染力が強く、ワクチンが効きにくいと報告されます。攻撃力も防御力も強い『最凶の変異株』と言えます」(一石さん)
参考:週刊ポスト News post 7(7/17)
https://www.news-postseven.com/archives/20210717_1675814.html/2 アメリカでは一足早く、日本のこの状況を予兆するかのように、英国株が子供たちの間で猛威を振るっていた。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の発表によると、4月30日〜5月6日までの1週間で、全患者数に占める子供の割合は24%。これは世界的なパンデミックが始まって以来、最も高い割合だ。
さらに変異株の流行に伴って、アメリカで症例が急増しているのが「小児多系統炎症性症候群(MIS-C)」。MIS-Cは新型コロナ感染から2〜6週間の間に発症するとされる。心臓や肺、腎臓、胃腸などの臓器のほか、脳や皮膚、眼球など全身のさまざまな部位で炎症が起こり、下痢や発熱、発疹、心不全などの症状が起こる。最悪、死に至ることがある恐ろしい病気だ。最近、MIS-Cを発症した子供の99%が新型コロナにも感染していたという報告もあり、発症メカニズムの解明が急がれている。
出典:女性セブン2021年6月3日号
感染者と陽性者はイコールではない。これまでの急性感染症の統計では、発症した人が「感染者」です。無症状の検査陽性者で水増ししても、インフルエンザの感染者数にまったく届かないということです。
次に、死亡者数を比較してみます。厚労省の人口動態統計によれば、インフルエンザによる直接死は2019年に3575人、2018年は3325人と、3000人をオーバーしている。この数字はインフルエンザが直接的な原因となって死亡した人数です。この直接死の人数と比較して「コロナのほうが死者が多い」と主張する人がいるけど、それも間違い。厚労省が発表しているコロナの死者数は「直接死」だけではなく、持病が悪化して亡くなった「関連死」の人を含む人数だから、インフルエンザも「直接及び関連死」の数で比較する必要がある。
インフルエンザの「直接及び関連死」はおおよそ1万人と推計されている。一方のコロナは、期間をどこで区切るかによるけど、1年でおおよそ3400〜4200人。インフルエンザと比べたらやはり圧倒的に少ない。つまり、コロナは最大限に水増ししても、インフルエンザにまったく届かないということ。これが1年目の結果ですよ。これが確定した事実です。でも、そういうことを言うと、「みんなが自粛して頑張って対策したから、この程度で抑えられただけで、何も対策をしていなかったら42万人死んでいた」と言う人がいる。
だけど、何も対策していなかったとしても、感染者や死者ってそんなに増えなかったと思う。全部が全部、効果がないわけではなくて、確かに、飲食店が営業を自粛して、ビジネスマンもテレワークにして、ステイホームすれば、その間だけは感染拡大を抑え込めますが、緩めたらまた広がるのだから、結果的にはやってもやらなくても同じくらいの数になる。
出典:News post 7
2021年07月18日
この記事へのコメント
コメントを書く