その選別の大半は、無意識のうちに頭の中から消えてしまったのでしょう。人間は元来、忘れる生き物なのです。そうじゃないと生き延びられないからです。コロナ禍、顧客に選別されて終わるのでなく、新たな価値を創造し続ける場になっていくように我孫子を変えていかなくてはいけません!
意識的か無意識的かにかかわらず、頭の中から忘れ去られてしまう。
その商品を買う必要がないと選択してしまえば、それを使っていたことすら忘れてしまう。
店で買わないからネットへという移行は、もうずっと前から進んでいたこと。
アマゾンも楽天もZOZOTOWNも、もうずいぶん前からサービスを開始している。
ネットフリックスなどの新しいサービスもコロナ前からありました。
「中途半端なものが売れなくなる」という現象もまた、コロナ前から顕著でした。
コロナによって、それが明確になったに過ぎない。選ばれなくなった「顧客消滅」は遅かれ早かれの現実。
来るべき数年後の未来がコロナショックによって一気に到来したということです。
そして、コロナショックによって消えてしまった顧客は、遅かれ早かれ、去っていく運命にあったのです。
「コロナのせいでよく行っていたあの店に行けてないが、なんとなく寂しい」
お客にとっても、ワクワクできるような場所や店は財産です。
「心の時代」である今、人々は単なるモノではなく、自分の心を充たしてくれるようなモノや場所を求めていました。
そう考えたとき、実はコロナショックは、「心が豊かになる」ビジネスを展開している会社にとっては、大きなチャンスとなり得るのです。人は何らかの愉しみがないと生きていけないからです。ここでいう「愉しみ」とは、人としてより良く生きるためのエネルギーチャージになります。
海外旅行もできなければアミューズメントパークにも行けないならば、近所の個室で接客してくれるあの飲食店に行こうか、感染対策がしっかりしているあの美容室に行こうかなど、むしろお客さんには今までにはなかった選択肢が生まれる機会となっているのが、今です。
しかし、多くの店ではそれに対して有効な手を打てていないことが多いようです。あるいは、顧客リストがないのでそれを伝えるすべがないままです。その結果、アマゾンプライムやネットフリックスに顧客を奪われてしまっています。
さらに言えば、外に遊びに行けなくなったことに加え、在宅勤務などで通勤の無駄な時間がなくなりました。
そうして浮いた時間は現在、ネットフリックスなどで映画を見たり、スマホでソーシャルゲームに費やされています。
ならば、その時間をどうやったら自社や自店のサービスに使ってもらえるか知恵を絞るべしです。
その発想が重要なのです。
本書の終章にこう書いてあります。ここまで、「顧客消滅時代」に自分のビジネスを守るために必要なマーケティングの考え方と手法、それを実現するための組織及び自分の改革方法について述べてきた。それを簡単にまとめれば、
●フロー型からストック型へのビジネスを変える
●「ファンダム」を作り、育てていく
●感性と価値で市場を創る
これらはコロナによってその到来は早まっただけで、アフターコロナの時代にこそ、求められることです。
◆一つは「業種分類は消滅する」ので、美容院なら美容院、書店なら書店という縛りがあいまいになっていく。顧客はモノを買うことで「気持ちが晴れやか、豊かになる」体験を求めているからなのです。
◆次のポイントは「多くは教育産業となる」ことなのです。たとえば、酒屋さんがワイン教室を開く、というようなイメージをさらに進化したものだ。今注目の「サブスクリプションモデル」も、その基本は同じです。
◆最後に、「社交サロンが隆盛する」ので、特に店舗は、モノを買うための場所ではなく、人々が社交し、交流する場になっていきます。
顧客は店と、あるいはその店に集う人と交流するために、店に足を運ぶようになります。場合によって、店には商品すら置かなくてもよくなるのです。
コロナ禍が終わり、ワクチン接種が進めば、また元のような日常が戻る、と思っている人は多い。
しかし、知ってしてしまった便利さや、新たな愉しさを元に戻すことはできません。
つまり、新たなステージに入ったということです。これを時代の進化だとすると我々は過去を懐かしむのではなく、先へ先へと進んでいくしかないのです。
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