デジタル庁が2021年9月まで出来てきて、スマホを使うことは世に貴ばれる状況にある。しかし、この弊害が大きい事をよくよく警戒もすべきです。実は、スマホには中毒性があります。中毒性があるものへの耐性は、大人も子供もありません。川島隆太博士*は「脳トレ」でも有名ですが、東北大学加齢医学研究所所長で、近年はスマホの危うさについて警鐘をならしています。
加齢医学研究所は仙台市教育委員会と学術協定を結んでおり、2013年から、子供の学習意欲を伸ばすにはどうすればいいのかを脳科学の視点で諮問するようになりました。仙台市教育委員会と共同で毎年、仙台市立小・中・高校生約7万人を対象に、「仙台市標準学力検査」と「仙台市生活・学習状況調査」を実施していました。時間が、無為に過ごすよりも害があることは研究結果が示していました。
教育委員会はゲームやテレビが子供の学習意欲を削いでいるのではないかと考えていましたが、最近はゲームをするのも、動画を見るのもすべてスマホでできてしまう。児童・生徒が普段どれくらいスマホ、タブレットを使っているのか、またそれによってどんな影響があるか調べてみようということになりました。
2000年頃、子共たちも大学生、高校生でいわゆるガラケー携帯を持ち始めスマホが若い世代に普及して、今やシニア、高齢者も簡単スマホに切り替えねば、却って機種代が高額になるという、皆スマホ時代になりました。スマホのリスクを調べるまで、スマホに対してとくに問題意識を持っていませんでした。ただ、電車に乗るとみんながスマホをいじっている様子や、カフェなどで若いカップルが会話もせずにお互いにスマホをいじっている光景を目にして、何か異常だなと思う程度でした。
一例ですが、スマホでウィキペディアや電子辞書を使って調べている時の脳を見ると、ほとんど働いていません。一方、紙の辞書で調べものをする場合は脳が活性化します。辞書を繰る時に、「この文字の画数や偏は……」 「大体、ここらへんに調べたい単語があるはずだ」など予測が必要になり、頭を使うからです。
「もの調べ、辞書代わりに使っている。すぐに調べられるから時間の短縮になるそれで、君は余った時間をどう過ごしているか…スマホです」
こういった事実を認識すると、スマホで短縮された時間をスマホに費やしているという矛盾と無駄に気がついてくれます。
そうした啓蒙活動があると、スマホの使用を控える学生が少しずつですが増えてきました。
「勉強中、寝る前は、ケータイを居間に置いておく」。とくに勉強中、就寝前にダラダラ使うのは不必要で、弊害が大きいのです。
「勉強中は必ず電源を切るもができない、あるいは自信がない人は絶対に持ってはいけない」という強いメッセージも必要と考えられます。
スマホを子供に持たせるときに大切なのは、そのリスクをきちんと教え、使う時間を限ることです。
*1959年、千葉県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院医学研究科で学び、医学博士となる。スウェーデン王立カロリンスカ研究所客員研究員、東北大学加齢医学研究所助手、講師、教授、同研究所スマート・エイジング国際共同研究センターセンター長等を経て現職。研究テーマは脳機能イメージング、脳機能開発等。
参考HP:https://hanada-plus.jp/articles/228
2021年05月05日
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