上皇殿下が皇太子であった時期の教育参与を担った故・小泉信三(慶應義塾大学総長)は、福沢諭吉の『帝室論』やジョージ5世の伝記をもとに、君主の姿を説いたのだ。無私聡明、道徳的に信用ある人格を持つためには、どうするべきか。その教材が英国王のジョージ5世であり、エリザベス2世女王の祖父にあたる方だった。1921年(大正10年)に、日本の皇太子裕仁親王(後の昭和天皇)が訪英した際、「ジョージ5世は親身になって世話をし、その接し方はまるで実の父親のようであった」とされる。この時、ジョージ5世は日本の皇太子に「君臨すれども統治せず」という立憲王政のあり方を懇切丁寧に教え、その後の昭和天皇の人生に大きな影響を与えたともいわれる。
最近、宮内庁OBの一人は、こう吐露する。
「本音を言えば、眞子内親王には、早く結婚をしていただきたいと思っています。皇室とは遠いところで、静かに暮らして行かれるのがお幸せではないか」
他方、上皇さまとともに戦時下の疎開体験をし、学習院時代を過ごした同級生の明石元紹さんは、「小泉信三は皇室の役割について、「民心融和の中心」だと説いた。皇室のメンバーには、そうした自覚が必要だ」と明石さんは話す。
「国民の幸せを願い、寄り添うのが天皇家の務めだと私は考えてきました。上皇さまは、敗戦によって皇室が解体されるかもしれないという体験をなさった。美智子さまも敗戦後、天皇制反対への高まりを目の当たりにした世代です。だからこそ、上皇夫妻は長い歳月をかけて国民の信頼を築きあげてきた。天皇制の危機など体感したことのない眞子さまの世代に、それを理解してほしいという方が難しいのかもしれませんが…」
平成の時代、美智子上皇后は、「さすが天皇の血をひいた内親王ねーーー」と眞子さまを指して、こう目を細めていたという。期待を一身に受けた内親王の気持ちは、今は何を見つめているのだろうか。
(AERAdot.編集部 永井貴子)
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