世界経済フォーラムが31日に発表したジェンダー平等ランキングで、日本は過去最低だった前回(2019年12月発表)から一つ順位を上げて120位 となった。この結果をどう受け止めるか、ジェンダーと政治の研究を手がける三浦まり・上智大教授(政治学)に聞いた。
――対象156カ国中、日本は120位でした。どう見ますか。
総合順位でみれば一つ順位を上げましたが、実は分野別にみると、日本は政治、経済、教育、健康というすべての分野で順位を落としているんです。シエラレオネやグアテマラなどが大きく順位を落として日本を下回ったことが影響したのだと思われます。政治分野が大きく足を引っ張る構図は変わっておらず、順位を一つ上げたとはいえ、日本の男女平等は相変わらず停滞していることを示していると思います。
――政治分野は100点満点で換算すると「6・1点」でした。
政治分野の評価は「国会議員(下院、日本では衆院)に占める女性の割合」「閣僚に占める女性の割合」「最近50年間で国のトップが女性だった年数」の三つです。このうち今回は、女性閣僚の割合が10%に上がりました。前回は地方創生・女性活躍相の片山さつき氏1人(19年1月時点)でしたが、今回は21年1月時点で橋本聖子五輪相(当時)と上川陽子法相の2人に増えたためです。その結果、政治分野のスコアは前回の「4・9点」から「6・1点」へわずかに上がりました。それでも順位は144位から147位へと下がりました。ほかの国の改善スピードの方が、日本よりも速いんです。
――今回のランキングで注目する国はありますか。
前回の53位から30位へと躍進したのが米国です。バイデン新大統領のもと、女性閣僚の割合が21・7%から46・2%へと大きく伸び、女性議員割合(下院)も23・6%から27・3%へと伸びています。この結果、政治分野で86位から37位へ順位を上げたことが大きかったんだと思います。
出典:朝日新聞(3/31)
2021年04月01日
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