2019年の不買運動によって日本産ビールが韓国で出回らなくなった結果、スーパーやコンビニの棚には日本以外の輸入ビールが陳列されるようになった。イタリアの「ペローニ(Peroni)」を筆頭に、チェコの「ピルスナー・ウルケル(Pilsner Urquell)」と「コゼル(Kozel)」、ポーランドの 「ティスキエ(Tyskie)」、 ハンガリーの「ドレハー(Dreher)」などの輸入ビールがそれだ。だがコゼルに至っては韓国内に独立店舗まである。一時期、コゼルの黒ビールをグラスに注ぎ、シナモンをグラスの飲み口につけて飲む「コゼルダークシナモン」という飲み方が流行った。
実は、韓国人が日本産の代わりに愛飲したビールは、すべてアサヒグループホールディングスの傘下企業が扱う商品である。日本以外の国のビールを輸入したからといって、“断日本”ができるわけではない。
青島ビールは、1903年にドイツ人がビール製造を開始したのが始まりだが、1914年の第一次世界大戦時に日本がドイツから青島の租借権等を引き継ぐことを認められ、大日本麦酒(現:アサヒビール、サッポロビールの前身)が買収して経営を担った。1999年にはアサヒビールが合弁企業、深圳青島啤酒朝日有限公司(青島40%、アサヒ60%)を設立、2017年まで経営に関与している。不買運動が始まった2019年、アサヒビールは青島ビールの経営や販売からは退いていたが、青島ビールは日本の平均的なビールと似たような味わいであり、日本メーカーの影響を受けていることがうかがえる。
そして、韓国が誇るビール界の2強であるOBビールとハイトビールはいずれもかつて日本企業だった。
●OBビール
1933年12月、日本人が築いた昭和麒麟麦酒が前身。1948年2月に東洋(トンヤン)ビールに社名を変え、商標を“オービービール”に変更。1952年5月に斗山(ドゥサン)グループが東洋ビールを創立した。
●ハイトビール(ハイト眞露)
1933年大日本麦酒が“朝鮮麦酒”を設立。当時は、昭和麒麟麦酒と共に京畿道始興郡永登浦邑を本拠地とし、朝日と札幌ビールを生産する基地の役割を果たした。
上記にも述べたが、上記の2社は日本のビール会社と直接の資本関係はない。その証拠にと言ってはなんだが、日本のビールと韓国のビールの味は全くといっていいほど異なっている。
一方、比較的日本ビールの味に近い商品がある。「クラウド」だ。
●クラウド(ロッテ七星飲料)
ロッテ七星飲料が製造販売するビールブランド。オリジナルのクレビティ工法を適応させた製品で、2014年4月に販売を開始。
韓国のビールは、日本の第3のビールのような薄い味で、上記3点の中ではクラウドがビールらしい味である。クラウドが発売されてから、在韓日本人の間で主流となった(最近は、ハイト眞露の新しいラガービール「TERRA(テラ)」も人気がある)。
クラウドが日本のビールの味に近い理由は、アサヒビールが開発に関わったが「技術だけもっていかれた」と嘆いていたとの話である。
上述のように、韓国で流通しているビールの中で、日本と関係ないビールは非常に少ない。また、韓国人が一生懸命、日本製品の不買運動を展開しても、日本メーカーに大きなダメージを与えることは非常に難しい。
そもそも、韓国に進出しているメーカーは、韓国以外の国にも進出しているケースが多く、日本企業による韓国進出が韓国国民の雇用に繋がっている面も大きい。不買運動に伴う撤退や人員削減によって自国民の雇用を喪失させている。
参照:JBプレス(03/19 )
2021年03月22日
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