約4万5千人に上る、同州内の死者数の総計に影響はなかったが、州は新型コロナの感染が拡大した昨年3〜5月に病床確保のため、「施設はコロナ患者の入所を拒めない」とする行政文書を出し、感染拡大につながったとも言われている。このため、施設外で亡くなった人を意図的に数えていなかった可能性があると地元メディアなどが批判。さらに、クオモ氏の側近の秘書が州議員との電話協議で、公表をわざと遅らせたと受け取れる説明をしていたことが、地元紙の報道で明らかになった。
当時(昨年秋の時点)のトランプ政権は、民主党のクオモ州政を批判して、予算カットやワクチン供給ストップなど、あらゆる脅迫をしていたのは事実です。知事による、この攻撃から州政を守るために数字の出し方を「工夫」したという主張に関しては、批判はされて当然とはいえ、一部同情すべき点はあるように思います。知事の判断では結果的に3つの誤算からきていました。それはどういうことかというと、
1つ目は、感染者や重症者の数は、知事が覚悟した「最悪のシナリオ」を下回った為、幸運中の不幸が起きた結果ということです。
2つ目は、知事が奔走して確保した臨時の病床や病院船は、コロナ治療だけでなくコロナ外治療にも対応するキャパシティーを確保して、いわゆる医療崩壊を食い止める計画でした。ですが、3月から5月にかけての時期、NY市民のほとんどは新型コロナの院内感染を恐れてコロナ外の診療には来ませんでした。その結果として、病床は大幅に余ったのです。
3つ目は、入所者を戻した施設では、特にPPE(マスクや防護服など)の不足によって大規模な感染爆発を起こしていったということです。知事が報告していた施設での死者8500名というのは、この数字です。
つまり、1つ目と2つ目の見込み違いによって、本来であれば病院で治療を受けるべき入所者を施設に戻したために、3つ目の誤算が重なって最大8500人が死亡した――その全てではないにしても相当な部分は病院で治療を受けていれば救命ができたかもしれない、少なくとも遺族にはそうした思いが残る、というのが問題の本質です。
クオモ知事の側は、総数を改ざんしていたのではないのだ、本来なら1万5000であるべき数字のうち「病院で治療を受けたが亡くなった6500名」は「後で報告する」ことにして、8500だけを「施設入居者の死亡者数」としていたわけです。
参照HP:https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2021/02/ny3_2.php (Newsweek 2/16)
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