2020年06月26日

潮目の変化、郊外への移み替え

 ここ10年ほど、マンション市場は都心回帰トレンドを反映してきた。都心では多くの開発が行なわれて、タワーマンション等が数多く誕生した。しかし、2014年の異次元金融緩和第2弾以降に膨れ上がった局地バブルによって、都心のタワマン価格は中堅所得者が買えないレベルにまで高騰した。それでも「通勤に便利な場所に住みたい」という流れは変わらなかった。都心で買えない中堅所得者は、湾岸や近郊エリアのタワマンを好んで購入するようになった。彼らの全員があの荒涼とした埋立地や、タワマンが林立する無機質な街並みを好んでそういう選択をしたのではなかろう。少なくとも何割かの人々は「通勤が便利だから」という理由で湾岸や近郊のタワマンを選んだはずだ。

 湾岸や都心近郊の武蔵小杉で床面積が20坪のマンションを買えば、予算は6000万円から1億円程度。ところが、山手線から快速50分乗車圏で同じ広さのマンションを買うなら、予算5000万円でも十分に選択肢がある。中古で探せば、さらに予算は抑えられる。

 ただし、都心にある会社に勤務するサラリーマンのうち、日常業務をテレワーク主体へと移行する人々の割合は、全体の1割程度だろう。出勤した場合と比べて遜色なく仕事をこなせるのは、しっかりと自分が管理できて職能水準が高い人々である。だから依然として都心立地のマンションへの需要も衰えないだろうが、全体から見ればわずかとはいえ、今までとは違った動きが起こることは十分に想定できる。

 都心でマンションを購入した方にとって、プラスアルファのスペースを確保するのは簡単ではない。となると、「毎日会社へ行かなくていいのなら、ゴミゴミした都心に住む必要はない」──そう考える人が一定数いても不思議はない。テレワークの普及は、これから住まいを購入しようとする人々の選択肢を広げてくれる。例えば週に1日とか月に3日しか会社に行かなくてもよくなれば、会社まで片道1時間以上かかる程度の郊外に住んだとしても、さして支障がないはずだ。むしろ週に1度の「上京」が楽しみになるくらいではないか。

 都心でアクセク働きながら狭いマンションの住宅ローン返済に追われる暮らしよりも、郊外の自然環境が豊かな街で、伸びやかな日常を送る生活に魅力を感じる人は少なくないだろう。都心から郊外、準郊外へ──。コロナ後の住まい選びにはやや変化が起きる可能性が高い。

 コロナ禍でテレワークすると、とりあえず自宅のダイニングテーブルなどを使ったことだろう。多くの人がステイホーム中のワークスペースを自宅内に急造したのかもしれない。テレワークが日常となれば、そのための専用スペースが欲しいというのは誰しもが考えること。家具屋さんでは高級店でも大衆向けストアでも、デスクやチェアの売り上げが急伸したという。

 コロナ後、彼らの多くは以前のように毎日満員電車に乗って職場に通う日常には戻りたくないと考える者が増えると予測されている。会社側も、毎日出社しない社員のために専用のデスクやそのスペースを用意しなくてもよくなる。その分のコストはカットできるわけだ。テレワークという働き方を知ってしまった今、多くのビジネスマンたちの日常は大きく変わった。それなら広い自宅でゆったり過ごせる方がいい。専用のワークスペースも確保して、住居費が安い郊外に目を向けるようになる。

 ではそういった場合に、選ばれやすい街はどこなのか?都心まで通える範囲で狙い目の街をいくつか挙げてみたい。マンションなどの価格がさほど高くない割には、日常を楽しく過ごせそうな街である。住居費が安いにもかかわらず、都心へのアクセスが優れている。肩ひじ張らない庶民の街だ。コストパフォーマンスはよさそうだ。資産価値よりも居住性を重視するなら、野田線や京成線、新京成線で2駅か3駅ほど離れると中古マンションは驚くほど安くなる。ただし、子どもが相続する頃には値段が付くかつかないかレベルまで、価格が下がっていることを覚悟しておく必要はある。

 では、月に数回の出社なら、JRグリーン車を使うこともでき、千代田線の始発駅でもある我孫子はどうだろうか。始発駅なら、出社日には座って都心へ向かえるというメリットもある。千葉の温暖な気候は住みやすい。文人の別荘地だった理由は何といっても水辺が近いことにあった。今、水上スポーツを楽しむ人にとって、ヨットはひとつの夢であるはずだ。職場が都心にある場合は仕方なくそれを我慢してきたが、これから移住を真剣に検討する時期にどこがいいか探すのではないか。住居費が安くて緑の自然が豊か。市内近隣の史跡や寺社仏閣めぐりが好きな人にとっては、かなり魅力的なエリア。緑の田園風景を好む人、そこまで自然環境にこだわらない単純に住居費を安く上げることで日常の暮らしを楽しもうというタイプにとって、住んで楽しめる郊外の街にも少し人気がでるかもしれない。大学がある街はいつも若やいでいて、都市力があまり陰らない。駅から歩ける範囲なら出社もラクだ。資産価値は経年で下落するが、売れなくなるよう場所ではない。通学にも便利なので、子どもの学校もそれなりに選べる。

 このように、コロナ禍によるテレワークの普及は、図らずも都心一極集中の流れに変化をもたらしそうだ。

 

参照:MSNニュース(6/24)
posted by Nina at 00:00| 千葉 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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