葛餅と言ったら「船橋屋」だと言えます。なぜなら、この葛餅は故郷の味みたいな、子供のころから馴染んできて、改めて美味しさの理由は、サイコーのものの三拍子がそろっていたから、嬉しい変わらぬ信頼の味だったとWeb記事を目にして改めて確認できたのでした。
この葛餅は、黒蜜、きな粉、葛餅すべてが厳選の素材で、夫々が主張しながらバランスが取れていていて、それぞれの製法を徹底し、熟練の味です。他ではこの三つがそろった絶妙なバランスを併せ持つ葛餅は食べられないと断言できます。食べるたびに感動です。
その「船橋屋」の8代目社長のインタビュー記事もなかなかの感動ものなので、ご案内しておきたいと思います。老舗が残るために、過去を乗り越える苦労を積み重ねているのだと知ったところだ。
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江戸時代から200年以上続くくず餅の老舗、「船橋屋」。同社が製造・販売を手がけるくず餅は、かつて芥川龍之介や吉川英治など、日本を代表する文豪達も愛した逸品です。小麦粉を水で練ってグルテンとデンプンに分け、デンプンのみを発酵させて作るくず餅は、450日にわたる乳酸発酵を必要とする一方、消費期限はわずか2日というデリケートな和菓子です。伝統の製法を守りながら改良を重ねてきた船橋屋のくず餅。店の前には今日も長蛇の列ができています。 実はこの船橋屋は近年、就職先として多くの若者の人気を集めています。新卒採用でピーク時には約1万7000人の学生がエントリー。老舗の伝統を守り続ける一方、組織運営においては、若手社員を中心とした「オーケストラ型組織」と呼ばれる同社独自のスタイルを確立。そこにあるのはまさに「優良企業」です。 しかし、8代目社長の渡辺雅司氏が入社した25年前、船橋屋は現在の姿からは想像もつかない「老舗病」を抱えていました。
単なる「良い物」だけでは売れなくなる、と思っていました。その商品を通じて、お客様のライフスタイルがどのように良くなるのか、そこが伝わらなければ買って頂けない。そんな新しい時代が来ると思っていました。そこで 生き残るためには社内改革と取引先改革、メインバンク改革を行うことは必然だった、という実はごくシンプルな話 なのです。
これらは個人のやる気の問題以前に、組織としての課題です。働く人の情熱や感動を引き出すとともに、一人一人が達成感を味わえる環境を作り出すのは企業側の役目です。現状に胡座をかき、 自分の仕事さえ終わらせれば良いという「楽」な組織ではなく、目的や目標を持って皆で達成しようと成長していく「楽しい」と思える組織。また、働く社員皆がワクワクするような会社。船橋屋はそんな会社にしたい と考え、「社内活性化プロジェクト」という特命チームを発足させ、働きがいのある組織に作りかえていきました。おかげさまで、現在では就活生にも人気の高い目標達成型の組織にシフトすることができました。今の状態からは想像できないかもしれませんが、ここまでの改革を成し遂げるまでに、20年もの歳月がかかりました。
会社幹部を決める時にも総選挙を行います。全ての正社員と5年以上勤めるパート社員を合わせると150名ほどになりますが、「誰が次世代のリーダーにふさわしいか」を無記名で投票します。
2015年に第1回総選挙を実施したところ、当時34歳だった女性社員が過半数の票を集め、執行役員に抜擢されました。 社長が属人的に「あいつは頑張っているから」と役職を与えてしまうとダメ。 やはり、皆が公平に選んだリーダーだからこそ納得できますし、社内の期待も高まり、一緒に頑張ろうという気運が生まれます。
これからの経営」に大切なことは何でしょうか。
渡辺: やはり、 社長も含めて組織全体がワクワクし続けること ではないでしょうか。多くの社長が数値目標だけを社員に示し、成果を出せというけれど、それでは人は動かない。社長が追求すべきは売上や利益、時価総額だけではありません。もっと大事なことは、社員にワクワクする目標を示すことです。
例えば、船橋屋では「くず餅という発酵食品を日本全体に広めること」「くず餅乳酸菌を世界に広めること」という挑戦が、その「ワクワク」に当たります。ありがたいことに、船橋屋のくず餅が亀戸天神のお土産であり、おいしいということも昔からある程度認知して頂いていましたが、調査したところ、くず餅が発酵食品だとご存じの方は全体の20%に過ぎませんでした。つまり、80%は新規開拓できるマーケットがある、というわけです。ワクワクしますよね。
社員に共感し、動いてもらう方法は1つだけです。それは「社長と一緒に歩めば、給料は上がり、ひとりの人間として高みに行ける」と、社員が自分事として納得できるビジョンを示すこと です。
これが実現すると、仕事に出かける時の後ろ姿が変わります。楽しそうに自宅を出る親の背中を見て育った子どもはどんな気持ちになるでしょうか? きっと親を尊敬しますし、やがて大人になった時に「働くって楽しいことなんだ」と思うようになるはずです。社員一人一人がワクワクしながら働くことは、それ自体が次世代の日本を強くすることに繋がるはず、と信じています。
出典HP(抜粋):https://bizhint.jp/report/230342
2020年06月20日
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