稀代のバレリーナと言えば、英国のマーゴット・フォンテーンであろう。
40才をすぎて、引退がささやかれていた時期だったが、1963年にはソ連から亡命した超絶ダンサー、ルドルフ・ヌレエフと『ジゼル』で共演する事になる。これが話題となり、以降ヌレエフとの間に10年以上に及ぶパートナーシップで再びバレエ界に名をとどろかした。特に2人の『眠れる森の美女』、『ロメオとジュリエット』は有名で、後者は映像化された。
ブラジル人の血を引いたアイルランド人の母親と英国人の父親の間に生まれ、黒髪黒目のエキゾチックな美しい容貌が際立って目をひいた。母親の進めで幼少時からバレエを習い始め、父親の赴任先の上海ではアンナ・パブロバの舞台を見たり、ロシア人舞踊師から手ほどきを受けて、才能を見出された。英国で最も有名なバレリーナとして世界中から公演の要請がきていた。1955年にパナマの外交官ロベルト・デ・アリアスと結婚した。その後、夫アリアスはパナマで政界進出を目論むが、1967年遊説中に狙撃され、下半身不随となった。フォンテーンはその芸術的な功績によって貴族の称号を授けられ、夫を看病して最後も看取った。フォンテーンは1991年、ガンによりパナマで死去した。
2020年01月05日
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